オーレリアンの庭 

我が家のバタフライガーデンをめざして(1)

 ミツバチやチョウに優しいガーデニング・記録 2020/2021年 
 (1)我が家のバタフライガーデンをめざして ミツバチやチョウに優しいガーデニング・記録 2020年
  (2)バタフライガーデンを代表する花々(推薦)と、その花を訪れるチョウへつづく
(3)我が家のバタフライガーデンの蜜源として準備する花々へつづく
(4)我が家のバタフライガーデンの蜜源となる花々の維持
(その1) (その2) / (その3)へつづく
(関連リンク)我が家を訪れるチョウの仲間たち ・・・ 庭の訪問者(NO.1:蝶を主として) 
  「オーレリアン」とは「チョウが大好きな人」を表す言葉で、我が家の庭はその言葉どおりの庭だと思っているのだが、チョッと使いづらい理由があって差し控えていたものの、やはり思い切って使わせていただくことにした。というのも、自然写真家として有名な今村光彦氏が何十年もかけて作り上げた里山併設の自然邸宅が、某国営放送で「オーレリアンの庭」というタイトルでドキュメントとして放送されたことから、「オーレリアンの庭」という言葉のハードルがとてつもなく高くなってしまったからだ。そこでこれまで、我が家の庭を「バタフライガーデン」と呼ぶようにしていたが、本来の意味では「バタフライガーデン」よりむしろ「オーレリアンの庭」の方がピッタリと言えよう。
 
  最初にお話したように、定年後の新居には、洋ラン栽培用の温室2棟(3坪:最低温度10℃と、6坪:最低温度18℃)を建てるために比較的広い敷地を求めたので、庭としても十分な広さが確保されたことになる。そこで、もともと昆虫(特に蝶)が好きなことから、近所で飛び回っている蝶を全部集めてやろうと言うくらいの意気込み(冗談)でガーデニングに力を入れることにしたところ、花より団子 ・・・ いろいろな果樹を庭の周りに植えることになってしまい、さらには果樹の花のポリネーション効率を上げるために庭でミツバチを飼うことにもなった
  庭はイングリッシュガーデンを目指す・・・と言いたいところだが、これには自信もセンスもないし、ガサツな私には全く似合わない。しかし春花壇には、大好きなデルフィニウム、ルピナス、ジギタリス、カンパニュラを中心に、イングリッシュガーデンの主役となる素材を連作に注意しながら大量に植えることにし、その雰囲気だけでも楽しむことにしている。そしてさらには、果樹・花木を含めてチョウやミツバチが好む宿根草・一年草を集めることに努めている。ところが、この花の選別がむずかしい。ミツバチやチョウの蜜源としてどんな花が適切なのか、ほとんど情報がないからだ。海外の種苗会社が発行するカタログには、チョウやミツバチが好む花に印を付けるなどして、蜜源となる草花が推薦されているが、国内では、大手の種苗会社のカタログを含めて、このような案内が全く見られないのは残念だ。そこで私は、海外から入手したカタログを参照しながら国内の苗や種子を探したり、ときには海外から直輸入することにしている。ここは栃木県下野市 ・・・ 北関東(関東平野の北端)の平地に位置し、山からは遠い。山地性の珍しいチョウの来訪は期待できないが、ナガサキアゲハやアカボシゴマダラなどの南から北上するチョウの来訪は期待できるかも知れない。
  まずは、チョウやミツバチの来訪を意識して配置した我が家の果樹・花木・草花などを紹介しよう(下図)。庭のコンセプトとしては、主に落葉樹で構成された里山内部の日陰から太陽光の下に出た接点となる、いわば里山の側面を意識している。実際には、庭の周囲を果樹を主とした落葉樹で覆い、冬は陽当たりが良く、夏は家の周りが日陰となるように工夫している。暑い夏には、この日陰を色々なチョウが好んで飛翔するからだ。そして落葉樹の合間には陽だまりができるようにして、チョウやミツバチが好む花を欠かさないように心掛けている。リストの草花については、植えているものをすべてカバーしているわけではないが、おおよその状況がおわかりいただけよう。これまで、もっといろいろな草花の栽培を試みたが、我が家の環境に馴染まなかったのか、自然消滅していったものも少なくない。時間をかけながら、我が家の庭の環境に馴染む草花が選択されてきた。例えば、大好きなカンパニュラで庭をいっぱいにしようと、様々なカンパニュラを何度も庭に直植えしたが、大型小型種を問わずほとんどのカンパニュラの夏越しに失敗し、結果として期待通りの花を咲かせるのは2年草のメジウムだけであった。そしてようやく、今のような環境を達成するのに丸四年を要した。もちろん完成したわけでもなく、これからも改良を加えていくつもりだが、全体的な雰囲気としてはかなり満足できるものに近づいていると思っている。今では(2015年6月初旬)、晴れた日にガーデンテーブルの前に座って庭を眺めていると、まずチョウの姿が視野から消えることがない。モンシロチョウについて言えば、時期を迎えればいつでも10頭以上が乱舞する。あまりにも普通といえるモンシロチョウでも、庭の花を楽しみ・集う姿にはいつもながら癒されるものだ。通常見られるチョウにはモンシロチョウの他、ナミアゲハが多く、その他モンキチョウ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ジャコウアゲハなどがあげられる。梅雨に入ると庭の東側を埋めるブッドレアが開花し、ここには数・種類ともにびっくりするほど多くのチョウが訪れるようになる。ときには、驚くほど希少なチョウの訪問を受けることがあり、ほんとうに嬉しいかぎりだ。チョウの楽園とは言わないまでも、チョウミツバチが喜んでくれるような庭づくりに、これからも励むことにしよう。関連ページへリンク
 
 
 
果樹 (チョウやミツバチが好むと思われる) 蜜源としては不適切 (赤字)かも?
 a ビワ  b アンズ c キウィ   d ネクタリン 
 e サクランボ f ブドウ g 温州みかん  h ジュンベリー
 i ブルーベリー j ヤマモモ k リンゴ  l ナシ
  ポポー n モモ o カキ   ブラックベリー
             
        
チョウの食草にあたる草花・樹木などの植物 (果樹は除く)
 A  エノキ  B  カラスザンショウ C  ヘンルーダ  D  ウマノスズクサ
 E  ミツバ F  スミレ イタリアンパセリ  H  アシタバ
 I  ガガイモ  J  スイカズラ  ホトトギス K  スミレ(宿根野生種)
 L ニンジン M キャベツ コリアンダー(パクチー) O パセリ
  ミヤギノハギ 18  タニウツギ      
     
チョウやミツバチが好むと思われる 花木や草花 (宿根草と一年草) 
1   ミヤギノハギ  2  ブッドレア
アルテニフォリア
3  ブッドレア 4  ブッドレア・バズ
 5  モナルダ  6  エキナセア  7  タマクサギ  8  ヒデンス
 9  ヒャクニチソウ 10   アンセミス 11  デルフィニウム 12  ルピナス
 13  ジギタリス 14   リアトリス 15  スカビオサ  16  タナセタム
 17  カスミソウ 18   タニウツギ 19 西洋ダイコンソウ  20  ガーベラ
21  オステオスペルマム 22  ニーレンベルギア 23  ルドベキア  24  ハナウツギ
25  アガスターシュ 26  オミナエシ 27  チトニア  28 バーベナ
29 ヤマブキ 30 アリッサム
スノープリンセス
 31 アリッサム
サクサティレ
32  バーベナ
ボナリエンス
 33  ベロニカ 34   ヒマワリ  35   セージ  36  ルリタマアザミ
37 ウツギ(卯の花)            
我が家の訪問客(チョウ)  現在 49 種
時節ごとの変化・気がついたこと
2021年度の記録(進行中)  
 2020年の記録をさぼってしまったが、それ以上に2021年の記録も放置してしまった。我が家の庭を訪問してくれるチョウの種類もそろそろ出そろった感があり、新しい情報をあまり多くを期待できない状況にあると思われることから、ついつい観察がおろそかになってしまっているようだ。そのような状況の中、21年度のトピックスは、我が家の庭でルリタテハの発生していることが確認されたことであろう。
もともと時折ではあるが、庭にルリタテハがやって来ていたこともあり、庭には食草のホトトギスを植えていた。しかし、ルリタテハがホトトギスで発生している様子は見られなかったことから、3年前には、あらたな食草としてサルトリイバラを植えた。さらに2020年の秋には、友人の庭のサルトリイバラで発生したルリタテハの終齢幼虫3頭を、我が家のサルトリイバラに移殖した。これらの幼虫はしばらくして姿を消したが、これらの幼虫が無事に羽化したものと信じていたものの、その後どうなったかは不祥だった。
2021年9月30日 
 その後、家の周りでは以前より頻繁に成虫を見かるようになったが、どこで発生しているかは不詳であった。これまで食草のサルトリイバラやホトトギスの葉に食痕があるかどうかに注目していたが、卵や幼虫を見かけることはなかった。しかし2021年9月30日、サルトリイバラの葉に異様な食痕があることに気が付き、そこには10頭以上の4齢と5齢のルリタテハの幼虫がいることを見出した
これでルリタテハは、既にしっかりと我が家の庭に居ついていることを確認できたことになる。 来年には、卵からの成長を観察記録したい。

食痕が激しいサルトリイバラ

4齢幼虫

4齢幼虫

5齢幼虫
2020年度の記録
2月下旬 暖冬と言われるなか、2月の下旬は晴天の暖かい日が続く。2月23日には激しい「春一番」が到来し、季節はいよいよ春に向けてまっしぐらに進むことになる。
2月23日 今年の一番はモンシロチョウ
暖かい日差しに、ハウスの中は汗が滲むほど。ふと気が付くと、陽だまりに咲くスイセンの花にとまっているモンシロチョウみ気づいた。昨年より、ほぼ一月ほど早い登場となる。ここ数年は、年々チョウの姿がけり続けているように見える。今年はどうなるのだろう。 
3月8日 越冬キタテハが初登場
4月並みの陽気で、モンシロチョウが3〜4頭、中にキタテハが混じる。明らかに越冬個体だが、大きくて傷のない翅が美しい。 
4月16日、ツマグロヒョウモンの蛹を発見
暖かい晴れた日が続く。庭の手入れと掃除をしていると、重ねたプラスチック容器の底に張り付いたツマグロヒョウモンの蛹を見つけた。夏から秋にかけてスミレを食い荒らす幼虫をたくさん見かけるのだが、越冬中の幼虫はめったに見られない。越冬中は、暖かい日差しの晴れた日にスミレの近くの岩の上に現れ、日向ぼっこをしている姿を時折見かける。さらには、春先にスミレから遠く離れたところに作る蛹にはめったに出くわすことがない。すでに黒くなっているので、近いうちに羽化するに違いない。
 
現在・過去の記録     
2020・2021年度の記録(クリック)進行中  2019年度の記録(クリック)
 2018年度の記録(クリック)  2017年度の記録(クリック)
 2016年度の記録(クリック)  2015年度の記録(クリック)
越冬する姿が確認されたチョウとその形態
ジャコウアゲハ(蛹並アゲハ(蛹)、 クロアゲハ(蛹)カラスアゲハ(蛹)
ヤマトシジミ(蛹)モンシロチョウ(蛹)ルリシジミ(蛹)、 ミヤマカラスアゲハ(蛹)

アカボシゴマダラ(幼虫
  
 我が家のバタフライガーデンをめざして
(1)我が家のバタフライガーデンをめざして ミツバチやチョウに優しいガーデニング・記録 2019年 
 (2)バタフライガーデンを代表する花々(推薦)と、その花を訪れるチョウへつづく
(3)我が家のバタフライガーデンの蜜源として準備する花々へつづく
(4)我が家のバタフライガーデンの蜜源となる花々の維持
(その1)(その2)/(その3)へつづく
関連するリ ン ク
(その1)我が家を訪れるチョウの仲間たち ・・・ 庭の訪問者(NO.1:蝶を主として) 
      我が家の庭を訪れるチョウの仲間たち 現在 49 種 
(その2) 庭で観察した蝶の興味ある行動
(その3) 我が家の庭に棲み着いたチョウ(現在20種) 
 (その3-1) 庭に棲み着いたジャコウアゲハの生態
 (その3-2) (2-1)アカボシゴマダラの生態 我が家での生態観察と越冬幼虫の観察
(2-2)アカボシゴマダラの生態 夏型の生態観 
 (その3-3)  庭に棲み着いた並アゲハ、クロアゲハの生態
 (その3-4) 庭に棲み着いたキアゲハの生態
 (その3-5) 庭に棲み着いたカラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、ナガサキアゲハの生態
 (その3-6) 庭に棲み着いたゴマダラチョウの生態
 (その3-7) 庭に棲み着いたその他のチョウの生態
モンシロチョウ、ルリシジミ、モンキチョウ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、キタキチョウ、
ツバメシジミ、ウラナミシジミ
アサマイチモンジ、スジグロチョウ、コミスジ
(その4)トラップいろいろ
(その5)幼虫の飼育便利グッズ
(その6)我が家を訪れるチョウの食草一覧(庭に自生・植栽している食草)
(その7)アゲハチョウの仲間 幼虫の比較
付録世界のバタフライガーデン
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