我が家の庭の訪問者(その3-7) |
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我が家の庭に棲みついたチョウ | |||||
その他のチョウの生態 | |||||
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今まで紹介した我が家の庭で発生しているチョウ(アゲハの仲間・アカボシゴマダラ)以外のチョウで、明らかに居ついていると思われる状況を記録・紹介する。 | ||
(A)モンシロチョウ | ||
畑の害虫・・・モンチロチョウ。我が家の庭ではとてもかわいい訪問者。畑と庭の一線を境に、どちらで飛翔しているかでその価値観は大きく変わる。この畑では有機栽培をもっぱらとしているので殺虫剤を噴霧していない。 畑ではキャベツを丸裸にするほど食害していることから、たくさんの幼虫が育っているはずである。しかし、これらの生態についてはほとんど関心を持っていなかった。自分なりに ・・・ 分り切っている現象として、いままで関心を払っていなかったといえる。 | ||
2015年6月14日、、 有機栽培では、ある意味では覚悟し、受け入れなくてはならない現実。4月中旬に10本ほど植えたキャベツはすべて写真のように・・・レースのようになってしまった。もちろんモンシロチョウによる食害で、全く手も足も出ない。 この現実を逃れるには、苗をネットでカバーするしかないだろうが、キャベツの株が大きく育つので、通常のネットではカバーしきれない。まあ、今回はモンシロチョウさんに差し上げることにしよう・・・。 |
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2015年7月11日、 7月になって、上に紹介したキャベツが立派な玉を作り上げているのに気がついた。玉を観察すると、アオムシの食痕があるにはあるが、少し見られるだけ ・・・ ヒトが食べるには全く問題がない。早速収穫して、大きなキャベツを家内に手渡した。これまた早速、お昼にサラダで食卓にのぼり、その味に期待しながら有機栽培のキャベツを一口 ・・・ あれ、少し苦いかな? 食べるに困ることはないが、ちょっとね? 旨い!って、ガツガツとはたべられないなあ。なぜだろう? ひょっとして、アオムシに痛めつけられたキャベツが、自分を守るために苦味の物質を生産して、モンシロチョウの産卵を回避させたのかしら? モンシロチョウはキャベツの味が解るという記事をどこかで読んだことがある。それで、青虫がほとんどいなくなり、キャベツが育ったのかもしれない・・・と、思ったのだが。どなたか、ご存知の方がおられましたらご教授ください。 |
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2016年1月5日、モンシロチョウの越冬 春のような暖かさにつられ庭を散歩している中、ふとモンシロチョウの越冬のことが頭に浮かんだ。おそらくたくさんの蛹が越冬しているはずだけど、今まで、見たことも探したこともなかった。この際、ちょっと探してみよう・・・と、すると直ぐに、畑と庭の境界線にあたる温室西側面の遮光材から数匹の蛹を見出した。こんなに簡単に見つかるのだから、予想通りたくさんの蛹がこのあたりに潜んでいるに違いない。 |
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遮光材から見出したモンシロチョウの蛹 | ||
2016年1月11日、 暖かい昼下がりに畑を散策、春キャベツの食痕に気がついた。ヨトウムシによる食痕と思ったが、よく観察すると、何とモンシロチョウの終令幼虫(写真上左右)を見出した。それも、一匹や二匹ではない ・・・ ザクザクと。やはり、暖冬による異常現象であろうか?蛹にまで生長すると良いのだけど。引き続き観察することにする。 |
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2016年1月下旬、 極寒の朝になると、庭や畑にあるものは写真(左)のように霜で真っ白になる。触れると ・・・ バリバリ、葉は完全に凍っている。このあと、これらの葉が陽光に当たると、元通りの新鮮な葉に戻るのには驚かされる。 そして、この凍った葉の間にはモンシロチョウ(写真上)の幼虫が潜んでいる。幼虫も凍って ・・・ これもまた生き返る(未確認) ・・・ 驚きの連続! だって、幼虫はいきている(写真上)もの。 |
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2016年5月23日、モンシロチョウのアリッサム・サクサティレへの産卵を確認 | ||
モンシロチョウが、アリッサム・サクサティレに産卵する姿をみた。勿論、産卵された卵も確認。アリッサム・サクサティレは一応アブラナ科だけど、こんな植物にでも産卵するのかと驚いた。産みつけられた卵を確認(写真右下)。 | ||
2017年6月16日、モンシロチョウのクレオメへの産卵を確認 | ||
スジグロチョウの産卵行動を観察しているとき、スジグロチョウだけでなくモンシロチョウもほぼ同時に、アブラナ科ではないクレオメ(フウチョウソウ科)に産卵する姿を目撃し、さらにその卵を確認した。また、クレオメを精査すると、生育中のモンシロチョウ(と思われる)3令幼虫を発見したことから、モンシロチョウとスジグロチョウはクレオメを食草として繁殖していると考えられる。 | ||
クレオメに産み付けられたモンシロチョウ(赤円)と スジグロチョウ(赤矢印)の卵 |
スジグロチョウの卵 100mmマクロレンズで撮影 |
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モンシロチョウの卵、100mmマクロレンズで撮影 |
孵化直後のモンシロチョウ1令幼虫(右奥に卵) |
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モンシロチョウ 2令幼虫 |
モンシロチョウ 3令幼虫 |
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クレオメで成長するモンシロチョウの4令幼虫 |
5令(終令)幼虫 |
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2017年7月5日 蛹化 クレオメの茎に蛹化した。5令幼虫は、見慣れたキャベツで育った5令幼虫よりかなり小さな印象を受ける。クレオメを食草として育ったからであろうか、蛹も通常よりやや小さめとなった。結果として、モンシロチョウが、まずは無事にクレオメで育つことが確認された。 2017年7月11日、羽化間直のモンシロチョウの蛹 モンシロチョウは、約一週間の蛹の期間を経て羽化するようだ。羽化が確認できた時点で、、モンシロチョウのクレオメでのライフサイクルが成立したことになる。 2017年7月12日、早朝に羽化 |
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蛹 クレオメで育ったからか、やや小さい |
やはり、やや小さめのモンシロチョウが誕生した |
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(B)ルリシジミ | ||
秋の七草は大好き。広い庭があったら是非集めてやろうと思っていた。クズと尾花(ススキ)は庭の草花には向かないようだけど ・・・ ススキはしばらく植えていたけど、手に負えないほど大きく広がってきたので処分した。共にチョウの食草なのに ・・・ 残念。オミナエシ、ハギ、ナデシコ、フジバカマ、ワレモコウ ・・・ すべてチョウの食草になったり蜜源としても有用な花ばかり。 | ||
その中でも、ハギは大好きな花の一つ。花が好きなのとチョウの食草にもなることから、庭に是非植えたいと思っていた。そこで、かなり大きく迫力のある木姿になってくれそうな「宮城野萩」を選択した。果たして美しい花ばかりではなく、季節にはルリシジミやキタキチョウが集う格好の場所となった。 | ||
ハギ ・・・ なかでもミヤギノハギは、意外にもたくさんの種類のチョウの食草(植樹)となる。キチョウ、トラフシジミ、ウラナミシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、 |
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2016年7月15日、 細かな雨が降りしきる一日。雨があがり始めた夕方に、お散歩がてらに庭をひとまわり。ふと、雨に濡れたミヤギノハギの花に、忙しなく動くアリの姿が目についた。妙に思ってその付近を注意してみると、今まで探しても見つからなかったルリシジミの幼虫(4令:終令?)が目に留まった。これで予想の通り、ルリシジミが我が家の庭でライフサイクルを営んでいることが確認されたことになるだろう。アリは、雨の中でもルリシジミの幼虫から蜜をもらっているようだ。今後もできる限り観察を続けることにしよう。ツバメシジミではないと思うけど・・・? |
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翌日(16日)には、別の幼虫を発見。意外に多くいるもんだ。 |
こんなちっぽけな花に幼虫は潜んでいる |
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幼虫を見つけ出すコツは、アリの行動と食痕に注目して精査することであろう。意外に容易に見つかるかも。 | ||
2016年7〜9月、注意して観察していると、ミヤギノハギの周りを飛び回るルリシジミを頻繁に見ることができる。これらの個体はほとんどが雌で、ハギに産卵しにやって来ていると考えられるが、多くは花を渡り吸蜜している。その行動を観察し続けると、ときおりハギの蕾にとまって産卵行動をとる。この行動に気がつくと、意外に容易にその産卵行動と、産卵された卵を観察することができる。 | ||
ハギの花蕾に、産卵に訪れたルリシジミ(メス)。腹に卵。 |
産卵行動を観察して、ようやく確認できた卵 |
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2016年9月3日、孵化したが幼虫が見当たらない |
リバースリングを用いて再度撮影 |
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2016年9月4日、 見失った幼虫をを探しながら何度も容器を観察していたところ、時折その姿を見かけるも、写真を撮ろうとライトを照らすと、直ぐにその姿を隠してしまう。気をつけながら精査すると、蕾に開いた小さな穴(矢印)に気がついた。幼虫は、この蕾に食い入ったに違いない。そしてその下方には糞らしき小さな塊が。これじゃあどうしようもない・・・。蕾から出てくるのを待つしかない。 あるいは、他の卵や食痕を探すことにしよう。 |
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2016年9月8日、1令幼虫(上記の幼虫とは異なる) |
1令幼虫、旺盛な食欲で成長は早い |
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2016年9月9日、2令に脱皮したかな? |
2016年9月10日、2令幼虫 |
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2016年9月12日、成育は早くてエイジが分からない ・・・ 3令幼虫と思われる。幼虫の周りの蕾に穴がボコボコ。幼虫が大きくなってくると花蕾を食べるようになり、幼虫の体が花色に染まってくるようだ。 | ||
日に日に色づいてきた |
既に4令(終令)幼虫に成長しているようだ。体色が美しい。 |
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2016年9月15日、エッ! まさか・・・前蛹?・・・と思ったが、プラスチックの上は居心地が悪かったらしく、暫くして葉上に移動して前蛹の態勢。この終令幼虫は、ネットで見た終令幼虫の形とはチョッと印象が異なった。 | ||
2016年9月15日、蛹化 夜遅く、前蛹が蛹化して入るのに気がついた。意外に短時間で蛹化するのに驚いた。 |
2016年9月16日、 わずか半日を経過しただけで、翅の部分が色づいてきた。想像以上に速く羽化に向かっているようだ。 |
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2016年9月16日、深度合成による写真作製 上記の写真が気に入らなかったので再挑戦。手持ちの機材を用いての解像度については限界があるので、ソフトを用いての画像処理に挑戦した。 それは最近話題の深度合成という方法で、ハードでは、自動的に深度合成の機能が組み込まれたカメラがオリンパスから販売されている。深度合成というのは、焦点がずれた連続写真を、焦点が合ったところだけを重ね合わせることにより、焦点が広く全体的に合った1枚の写真を合成する方法で、ソフトとしてはAdobeのPhotoshopにその機能が備わっている。ココではPhotoshopを用いて、焦点を変えながら撮影した8枚の連続写真を重ねあわせ、新たな写真(写真左)を合成した。なるほど、被写界深度が十分なすばらしい写真となった。 |
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2016年9月21日、終令幼虫をミヤギノハギで多数発見 台風16号が過ぎ、晴天とは行かないまでも、涼しい風を感じる曇った一日となった。最近、最盛期を過ぎたミヤギノハギの花を主に、幼虫などを求めて精査する楽しさを覚えた。既に最盛期を終えたといっても、大きく茂った木に一面に咲き乱れる花を一つ一つ目を皿のようにして卵や幼虫を探す訳で、不可能に近いと思っていた。しかし、そのコツを覚えてたというか、意外に容易に見つけ出すことができるようになったことから・・・ハギの花をほじくるのが楽しくなったことになる。今日はルリシジミの終令幼虫を3匹も見つけた。ハギの花弁に食痕を見つけたら、その近くにアリを探す。終令幼虫となれば、かなりの数のアリを周りにはべらしていることが多い。 |
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2016年の越冬に向けて | ||
2016年10月29日、 例年なら、冬の落葉にあわせてハギの枝をばっさりと切り落とす。しかし今年は、ハギでいろいろなチョウが発生していることが明らかになり、ツバメシジミやルリシジミはこの蛹で越冬することになる。従って、枝を切りはらってっ良いものかどうか、とても不安になる。そこで、ハギの枝を精査していると、葉の付け根にひとつの蛹(写真右)を見つけた。ルリシジミノ越冬蛹と思われる。これでますます枝を払うことが難しくなった。でも、枝を払わないと、来年の枝の伸びが大変なことになりそうで・・・。枝を切り払い、切り払った枝をチェックすることにしようかな。 |
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2017年 | ||
2017年6月8日、ルリシジミの季節がやってきた 6月に入るとハギの花が咲き始め、にわかにルリシジミが姿を見せるようになり、食草のミヤギノハギの周りを離れないように飛び回っている。雄もここを離れないことから、ルリシジミはすべて若い個体なのだろう。メスはハギの花に静止するのだが、産卵の姿はまだ見られない。 2017年6月11日、 既にオスを交えて3〜4頭のルリシジミがハギの周りを飛び交っている。これらはハギの花から吸蜜しながらも、若いツボミに卵を産み続けている。その数はかなりになるだろう。ちょっと花穂を調べるだけで、容易に卵を見つけることができる。 |
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6月11日、吸蜜中のルリシジミ雌 |
産卵の合間に、休憩して・・・吸蜜 |
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6月11日、産卵中のルリシジミ |
産卵中は警戒して、なかなか撮らせてくれない |
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早速、産れたばかりのホカホカの卵を・・・超拡大でパチリ |
周りを探すと、1令幼虫も発見 |
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