我が家の庭の訪問者(その3-5)

 我が家の庭に棲みついたチョウ
 (3-5) アゲハチョウの仲間 ・・・ カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、ナガサキゲハ
 内   容 (リンク)
  (その3)     我が家の庭に棲み着いたチョウ
(3-1) ジャコウアゲハの生態
(3-2)アカボシゴマダラの生態
  (2-1)アカボシゴマダラの生態 我が家での生態観察と越冬幼虫の観察
  (2-2)アカボシゴマダラの生態 夏型の生態観 
(3-3)並アゲハ、クロアゲハの生態  
(3-4)キアゲハの生態
(3-5)カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、ナガサキアゲハの生態

(3-6)ゴマダラチョウの生態  
(3-7)その他のチョウの生態

モンシロチョウ、ルリシジミ、モンキチョウ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、
キタキチョウ、ツバメシジミ、ウラナミシジミ、アサマイチモンジ、スジグロチョウ、
コミスジ、ルリタテハ
(3-エクストラ)この幼虫は何?
 
 
(D1)カラスアゲハ  
2015年7月5日、梅雨真っ只中の曇天。 モナルダの蜜を吸う黒い蝶を見つけ、ジャコウアゲハかと思ってカメラを準備した。近づいて驚いたのは ・・・ カラスアゲハだったこと。高鳴る胸に、手が震え ・・・ まずは、遠くから一枚。さらに近づくと、サッと飛んで行ってしまった。でも、この一枚でも撮れて良かった。 
 ついに来てくれたんだ、カラスアゲハ。このチョウの到来を期待して食草のカラスザンショウを植えた。本当に来てくれたんだ。勿論、このカラスザンショウを目指して来てくれたものと信じている。これから、カラスアゲハを見逃さないように注意して観察しよう。カラスザンショウが大きくなりすぎて、卵や幼虫が容易に確認できないのが残念。でも、親チョウの来訪は、とにかく・・・・・嬉しい!




2015年7月17日、 午後3時30分。 来た、来た、来た ・・・ 来た!!!
  台風11号が日本海に抜けた頃、北関東には強い日差しが降り注ぎ始めた。 カメラを下げて庭を一回り。すると、いきなり大きな黒いチョウが目の前をよぎり、真っ直ぐにカラスザンショウへ。一瞬にしてカラスアゲハであることがわかった。強い風に煽られながら産卵する姿がはっきり見える。ピントなど、まともに合わすことができない。もう、無我夢中でシャッターを押した。慌てたため、残念ながらピントはあっていないが、明らかにカラスアゲハの産卵が確認できる。また、この個体はモナルダの花を訪れた上記写真の個体とは異なるようだ。ワァ・・・い! また一つ、我が家の庭で誕生するチョウが増えそうだ。それも、カラスアゲハ。これは、今夜は寝れないほど ・・・ 嬉しい。 
次のステップは、このカラスサンショウで生長するカラスアゲハの幼虫を観察すること。
2016年7月13日
カラスザンショウにアゲハ類の幼虫を観察していると、少し違った印象の幼虫を見いたした。2令幼虫と思われるが、色彩が良く見るナミアゲハのそれと大きく異なり、皮膚のザラツキが少なく艶があるように見える。これはカラスアゲハの幼虫と思われることから、ネットを掛けて観察を続けることにした。昨年にはこの木に産卵する姿を見かけたこともあり、また、冬に近くで見つけた蛹もカラスアゲハのものと思われることから、我が家の庭でカラスアゲハが育っていることに強い期待を抱くと共に、一刻も早くその実態を確認したいと思っていたところだった。
カラスアゲハと思われる蛹(写真右:2015年12月)
2016年8月25日、産卵に来訪
カラスアゲハは比較的頻繁に庭を訪問しているようだ。その飛翔を見るのにも慣れたからか、庭の周りを飛翔する姿がよく目につくようになった。そして今日、久しぶりにカラスアゲハが産卵する姿も観察することができた。量感が伝わってくるほど大きな個体であった。産卵する数は少なく、その場所をよく吟味しているようであった。また、わずか一回の産卵行動であったが、側にあるヘンルーダーの根元に近い葉に産卵する姿が観察された。卵の確認と共に、観察を続けることにしよう。
追記:ヘンルーダーでの卵は、残念ながら見出せなかった。
 
翅は傷んでいたが・・・とても大きい。
 
産卵を始めたカラスアゲハ(雌)
 
産みたての卵
 
   
2016年7月13日、カラスアゲハの2令幼虫と思って観察を続けていたが、2016年7月20日、とうとう終令幼虫への脱皮を終えた。ところが残念・・・ショック・・・カラスアゲハではなくて、クロアゲハだった。 ということで、この記録をクロアゲハの項目に移すことにした。
2016年7月28日
とうとうその日が来た ・・・ 目の前にカラスアゲハの幼虫が現れた。以前、少し異様な糞型幼虫をカラスアゲハの幼虫と思って観察していたところ、クロアゲハと分かってがっかりしたことがある(上述)。しかし今回は、紛れもなくカラスアゲハの幼虫だ。この幼虫は、子供のときに飼育の経験があるカラスアゲハの幼虫に違いない。幼虫は終令(5令)幼虫への脱皮を済ませたところのように見える・・・いや、3令から4令への脱皮直後のようだ。うれしいですね。成虫の姿を確認して以来、一年以上もの時間がかかったものの、ようやく我が家の庭で待望のカラスアゲハの幼虫を見つけ出した。これで確実に、我が家の庭でカラスアゲハが育っていることが確認されたことになる。本当に・・・うれしい。寄生されていないことを、心から祈っている。早速防虫ネットをかけて保護隔離し、観察を続けることにしよう。
2016年7月29日、さらにもう一頭を発見。これは終令幼虫に脱皮したところのようだ。
 
頭部(?:胸部の上部)がもりあがった特徴的な幼虫
 
早速、ネットで隔離して保護観察することに
 
2016年7月29日 、新たに終令幼虫を発見した
 
終令幼虫、胸上部の特徴的な斑模様・・・しびれる!
 
模様を正面から見ると、蛇に睨まれているよう・・・怖い!
  
   2016年8月6日前蛹   8月7日蛹、頭が少し奇形?
 
ネットに蛹化したカラスアゲハ
 
ネットを通して撮られたカラスアゲハの蛹
2016年8月8日、 もう1頭の幼虫も同じようにネットの側面で蛹化した。ネット上で蛹化したものは、別項「ネットを用いた屋外での幼虫観察」で紹介したように、100円ショップで販売している鉢置き台を骨組みにして、蛹が付いたネットを被せるように取り付ければ、蛹をそのままの状態で維持することができる。この場合、羽化したチョウはネットの中で安全に確保された状態になるので、その後の観察も容易になる。
 カラスアゲハの成長(一つの卵からの成長記録)
 2016年8月7日、
カラスザンショウの大きな葉が重なり合っている中で、比較的大きな卵を見つけていた。大きさはナミアゲハの卵より明らかに大きいことからナミアゲハではない。では、何の卵だろう?そのような疑問を感じながら毎日観察を続け、その孵化を楽しみしていた。結果的に、この卵はカラスアゲハの卵であることが分かった
写真右:8月7日に撮影したもので、孵化が近い。
 
 
2016年8月11日
8月7日には見失っていた幼虫だが、今日(11日)には、卵が着いていた同じ葉から写真(上)の少し成長した1令幼虫が見出された。明らかにナミアゲハの幼虫とは異なるが、カラスアゲハとしての特徴が見られないので困惑した。
早速ネットをかけて隔離保護し、観察を続けることにした。  
   
2016年8月12日
幼虫を見つけてわずか2日だが、既に2令への脱皮が終わったものと思われる。幼虫の色彩は大きく変化し、異様にグリーンの色彩が強く、カラスアゲハの特徴が現れ始めたようだ。  
 2016年8月13日
本当に成長が早い。脱皮殻が見られるように、既に3令幼虫への脱皮を終了した。夏型の個体の成長には、目を見張るものがある。ほとんど卵から隔離した状態なので、寄生の心配はないと考えることから、安心してその生長を観察することができる。その色彩や形態から、カラスアゲハの特徴が強く現れた幼虫であるように見える。ここに、カラスアゲハの卵からの成長が詳細に記録することができて、とても嬉しい。
 
 
2016年8月14日、いかにもカラスアゲハらしい3令幼虫
 
2016年8月18日、いつのまにか4令幼虫
 
2016年8月21日、典型的なカラスアゲハの5令幼虫
 
2016年8月25日、蛹化
 2016年10月18日、蛹(越冬)・・・発見
カラスザンショウの近く、家の軒下にぶら下がるカラスアゲハの蛹(写真右)を発見した。蛹化に失敗したのだろう ・・・ 胸部を支える糸が切れ、逆さ吊になってる。かわいそうなので回収して、屋内で維持することにした。越冬する蛹としては、鮮やかな緑色に驚く。体側を走る特徴的な淡褐色のラインが特徴的で、カラスアゲハの蛹であることは直ぐに判断できた。体色は、これから寒くなるにつれて褐色に変化していくのだろうか? 今年初めて気がついたのだが、上の越冬蛹の写真でも分かるように、今までもカラスアゲハ(昨年はこの蛹の正体が不明・・・カラスアゲハは念頭にナシ)が我が家の庭で発生していたことを考えると、とても感慨深い。
 
2017年2月10日
上記の蛹の羽化。ミヤマカラスアゲハ(下記)と同じように、春を待たずしての羽化となった。これもまた運悪く、リビングの窓で翅を羽ばたかせるせる姿を見つけて初めてその羽化に気がついたことから、羽化する姿を写真に収めることはできなかった。 そしてまた、ミヤマカラスアゲハと同様に、羽化したての個体を直ぐに標本にすることにした。可愛そうなのだが・・・申し訳ない。下野市での記録として、完璧な個体の標本を残しておく必要があるので。
 
   
2017年10月20日 幼虫の発見
今年もカラスアゲハ健在
昨年、カラスアゲハが我が家の庭で繁殖していることが確認されたことから安心して、今年はさほど重視していなかった。しかし、比較的頻繁に庭の周りを飛び回っているカラスアゲハの姿を目撃しているので、カラスアゲハの繁殖を信じて疑わなかった。もちろんチョクチョク葉上の幼虫を探していたが、残念ながら全く目に留まらず、ついつい気を抜いてしまっていた。秋が深まり始めたころ、かなり低い枝の葉上に終令幼虫を発見(写真右)したので、早速ネットで確保して観察を始めた。やはり、カラスアゲハは、安定して庭で繁殖を続けていることが確認されたことになる。
 

2017年11月6日 前蛹 

2017年11月8日 蛹化(越冬型)
2018年4月21日、カラスザンショウに産卵を目撃
今まで、カラスアゲハが春に来訪して産卵する姿を目撃したことがなかった。各地で真夏日が記録された今日、庭を軽やかに舞うカラスアゲハの雌を目撃。その姿を追跡していると、まだ生長が不十分な若いカラスザンショウの葉に産卵行動する姿を観察した。直ぐにその葉を調べてみると、ナミアゲハに比べると一回り以上に大きな卵を見出した。嬉しさと感動で、しばらくその卵に見入っていたが、寄生されないように、その小さな葉にネットをかけて保護することにした。
 
まだまだ小さいカラスザンショウの葉

若葉に産卵されたカラスアゲハの卵

葉ごとネットで保護
   
 (D2)ミヤマカラスアゲハ  
2016年の冬に向かって・・・
10月に入って、カラスザンショウに今年の最終となる幼虫の姿を求めたところ、たくさんのナミアゲハやクロアゲハの幼虫に混じって、カラスアゲハと思われる数頭の幼虫が見出された。そこでこれらの幼虫をネットで保護し、蛹化したものを順次屋内に確保した。そして、その一つが2017年1月5日に羽化した。果してこの蛹から誕生したチョウは、下記の2016年10月16日に疑問に思ったとおりミヤマカラスアゲハであった。
  2016年10月16日
晴れると日中は気温が20℃以上に高くなるが、朝夕にはかなり厳しい寒さを感じるほどに秋の深さを感じるようになってきた。  暫く放置していたカラスサンショウを調べてみると、クロアゲハ・ナミアゲハ・カラスアゲハの終令幼虫が数多くそろって見られ、近づく冬に向けての準備が進んでいるようだ。
これらの幼虫から育った蛹が越冬すると思われ、幼虫は夏に比べると比較的穏やかに成長しているようだ。カラスアゲハの幼虫は、他に比べると、どれも少し遅れている(写真左)ようで、さらに迅速な成長が待たれる。
写真左は5令(終令)幼虫に脱皮を済ませて間もない幼虫。
尾部の突起はミヤマカラスアゲハの特徴・・・ウッソー、まさかね!・・・本当にミヤマカラスアゲハだった(2017年1月5日)
 2016年10月24日、カラスザンショウで蛹化(前蛹)
カラスザンショウで見つけネットで保護していたミヤマカラスアゲハ(カラスアゲハと思っていた)の終令幼虫が前蛹となった。やはり、美しい緑・・・。来春、無事に羽化して欲しい。
    
2016年10月27日、蛹化
上記前蛹が蛹化するのに丸3日を要した。雨と曇天の寒い日が続いたからであろうか? ネットで保護していたため蛹化の徘徊ができず葉柄に定着して前蛹になってしまったこともあり、風雨に晒されてしまったからだ。しかし、無事に蛹化して一安心はしたものの、放置すると落葉してしまうので、上記(カラスアゲハ)の蛹と共に室内で保護することにした。それにしても先の蛹とは大分様相が異なるように見える。蛹の側面のラインなど、明確な相違点が認められる。どちらかと言えば、この蛹のほうがいかにも越冬態のように見える。先の蛹は・・・まさか羽化するわけでは? 

ネット内で蛹化した蛹。屋内で確保。

 蛹の形は、カラスアゲハのそれとは少し異なるようだ。
2017年1月5日、ミヤマカラスアゲハの羽化
正月明け早々に、床でバタつくアゲハの姿を家内が見つけた。その姿を見てビックリ・・・ミヤマカラスアゲハ(春型・オス)だ! 蛹の抜け殻を確認すると上記の蛹で、また、その幼虫の写真を精査すると10月16日に感じた疑問の内容どおりだった。上記の終令幼虫頭部の黄色のリング状の明確な模様もミヤマカラスアゲハの特徴といえよう。この結果、ここ栃木県下野市の住宅地(我が家の庭)にミヤマカラスアゲハが分布・自生していることが確認された。羽化したこのミヤマカラスアゲハは、新年早々にもかかわらず殺生してしまった・・・標本確保 のために。ごめんなさい!
   
 
(E)ナガサキアゲハ 
2016年8月4日
激しい夕立があった翌朝、いつもどおりカメラを提げて庭を一回り。この時、雨に濡れた温州みかんの枝を移動するバカでかいアゲハの終令幼虫をみつけた。今ではブドウの陰になり、私の身長ほどもあった木が年を追うごとに貧弱になって、ほとんど諦めていた温州みかんの木 ・・・ もちろんミカンの実は生ったことがない。その大きな原因の一つに、この木がナミアゲハに集中攻撃を受け、幼虫に食い荒らされて丸裸になる歴史を毎年繰り返してきたことがあげられる。最近では、大きく育ったカラスザンショウやヘンルーダーにその対象は移り、このミカンの木はナミゲハからも忘れ去られ、私もほとんど気を留めなくなっていた。今では腰の高さほどにまで小さくなっていたこの木に、今まで見たことがないほどの大きさと、腹部の白くて広い帯 が特徴的なアゲハの幼虫 が・・・ これ、ナガサキアゲハじゃない? 初めて見る幼虫の姿だが、待ちに待ったナガサキアゲハと思われる幼虫の姿に、異様に血圧が上がるのを感じた ・・・ 危ない! 冗談はさておき、寄生蜂を危惧しながらも、早速ネットで覆って確保・保護することにした。蛹化も近く、この先が楽しみだ。
 
 
 
2016年8月5日、前蛹     8月6日、蛹化    
 
2017年7月18日、タマクサギで吸密する雌
   

  (3-6)ゴマダラチョウの生態へつづく

 内   容 (リンク)
(その1) 我が家の庭を訪れるチョウたち 
 (その2) 庭で観察した蝶の興味ある行動 
  (その3)     我が家の庭に棲み着いたチョウ
(1) ジャコウアゲハの生態
(2)アカボシゴマダラの生態
  (2-1)アカボシゴマダラの生態 我が家での生態観察と越冬幼虫の観察
  (2-2)アカボシゴマダラの生態 夏型の生態観 
(3-3)並アゲハ、クロアゲハの生態  
(3-4)キアゲハの生態

(3-5)カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、ナガサキアゲハの生態

(3-6)ゴマダラチョウの生態  

(3-7)その他のチョウの生態

モンシロチョウ、ルリシジミ、モンキチョウ、ツマグロヒョウモン、
ヤマトシジミ、キタキチョウ、ツバメシジミ、ウラナミシジミ、アサマイチモンジ
、スジグロチョウ、コミスジ、ルリタテハ 
(3-エクストラ)この幼虫は何?
 
  (その4) トラップいろいろ
(その5) 幼虫の飼育便利グッズ
 (その6) 我が家を訪れるチョウの食草一覧(庭に自生・植栽している食草)
 (その7)  アゲハチョウの仲間 幼虫の比較
 別項目 我が家のバタフライガーデンをめざして
   バタフライガーデンを代表する花々(推薦)と、その花を訪れるチョウ
 付録 世界のバタフラーガーデン
  下野市で見られるチョウ
 我が家のバタフライガーデンをめざして
   ミツバチやチョウに優しいガーデニング
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