我が家の庭の訪問者(その3-6) |
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我が家の庭に棲みついたチョウ | |||||||||||||||||||||||||||
(3-6) ゴマダラチョウ | |||||||||||||||||||||||||||
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今まで紹介した我が家の庭で発生しているチョウ(アゲハの仲間・アカボシゴマダラ)以外のチョウで、明らかに居ついていると思われる状況を記録・紹介する。 | ||
(1)ゴマダラチョウ | ||
下野市にはクヌギが豊富な里山がたくさんあり、オオムラサキやゴマダラチョウが頻繁に観察される。しかし我が家の近くには里山が見られず、食草となるエノキは豊富に見られるもののクヌギなどの食餌の場所が無いことから、ゴマダラチョウの来訪には期待していなかった。そのゴマダラチョウがスズメバチトラップにやって来るとは・・・感激。冷静に考えると、アカボシゴマダラがやって来るのだから、ゴマダラチョウが来てもおかしくない。ということは、我が家の庭で発生していてもおかしくないことになる。 | ||
2016年8月31日、ゴマダラチョウの羽化 ゴマダラチョウの食樹エノキは、庭に数本が自生している。植樹したわけではないが、鳥が運んできた糞に含まれた種から育ったものと考えられる。これらのエノキにはアカボシゴマダラが頻繁に訪れて産卵し、たくさんの子供たちが巣立っていることが昨年から確認されているが、ゴマダラチョウの発生は確認されてていなかったし、期待もしていなかった。しかし今年の春、ゴマダラチョウがスズメバチトラップに来訪してから、この近辺にゴマダラチョウが発生していることは認識していたものの、ゴマダラチョウが我が家の庭で発生していることには全く気がつかなかった。うれしい誤算だ。 ただ残念なことは、常時各ステージの幼虫の写真をたくさん撮っていたのだが、背の突起(ヒダ)の特徴からゴマダラチョウの幼虫と確認できるものは一枚もなかった。今後、ゴマダラチョウの幼虫も混じっていることを前提にして、注意して観察することにしよう。 |
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ゴマダラチョウの蛹と羽化 地面から50cmほど |
ゴマダラチョウの蛹(左)はアカボシゴマダラ(右)より 一回り以上ちいさい。 |
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庭に自生するエノキのうち、庭の北東に自生するエノキはアカボシゴマダラにとても好まれるようで、5〜8月には常時5頭以上の幼虫が容易に見い出せる。ほとんどの幼虫はそのまま放置しているが、3頭の幼虫が1本の枝に集中していたものを見つけてネットで保護した(写真上左)。その中で最初に蛹化したもの(写真下左右)は終令幼虫のときの大きさが栄養失調のように小さく、アカボシゴマダラの蛹に比べると、一回り小さいもの(写真上右)であった。どこか異様な蛹と感じていたが、今日(8月31日)に羽化した姿を確認した(写真左の赤丸内)ところ、それはゴマダラチョウであった。ここで改めて、我が家の庭でゴマダラチョウの発生が確認されたことになる。 | ||
羽化したてのゴマダラチョウ |
羽化したてのゴマダラチョウ |
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2016年10月、 庭のエノキで1令幼虫を見つけた。アカボシゴマダラに違いないと思っていたが、尾部突起が開いているのに気がついた。調べてみると、1令幼虫の時には、アカボシゴマダラもゴマダラチョウも共に突起は開いているようであるが、2令以上になると、アカボシゴマダラのそれは閉じて尖ったような形となるようだ。そこで、尾部の突起を指標にして今まで撮影したたくさんの幼虫の写真を見直してみると、いくつかのゴマダラチョウと思われるよう中の写真を見出した。特に、上記の蛹となったと思われる幼虫は、やはりゴマダラチョウの幼虫であることが確認された。これまで2種のゴマダラチョウの差異を、幼虫背部の4つの突起(ヒダ)の形態で判断していたが、これだけでは容易に判断ができないようだ。 |
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ゴマダラチョウの卵の抜け殻 アカボシゴマダラもゴマダラチョウも、殻から飛び出した1令幼虫は抜け出した殻を食べないようで、殻は球形を保ったままに残される。 0.7mm前後の卵は、アカボシゴマダラのタマゴより少し小さいいように見え、殻に見られるスジの数は20本で、アカボシゴマダラチョウのそれより1本多いようだ。スジの数は個体差かな? |
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ゴマダラチョウの1令幼虫 |
ゴマダラチョウの2令幼虫(脱皮直後) |
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8月9日、思わぬところに2令幼虫、10mmに満たない |
ゴマダラチョウの2令幼虫 |
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8月12日、3令への脱皮が始まった |
8月12日、脱皮後の3令幼虫。触覚が立派。 |
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アカボシゴマダラ(3令) ゴマダラチョウ(3令) |
我が家の庭でゴマダラチョウが発生しているとは全く想像していなかったが、ゴマダラチョウの羽化を確認したことから、にわかにその幼虫探しに力が入るようになった。普通、両者の区別は背部突起の差異から行うことが多いようであるが、現実的には尾部突起の状態から区別するのが容易と思える。尾部突起は2本あり、両者が閉じているのがアカボシゴマダラ(写真左の左)で、開いているのがゴマダラチョウ(写真左の右)。 |
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円(赤)はゴマダラチョウ3令幼虫、 →(赤)はアカボシゴマダラの4令幼虫 |
ゴマダラチョウの3令幼虫、 写真左(赤円)のクローズアップ |
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ゴマダラチョウ4令幼虫(脱皮直後)と、 はアカボシゴマダラの5令(終令)幼虫 |
ゴマダラチョウの4令幼虫 |
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ゴマダラチョウの4令幼虫 ゴマダラチョウの幼虫は、アカボシゴマダラのそれに比べるとややスレンダーに見える。4令と5令(終令)幼虫になると、その差は歴然となり、蛹はアカボシゴマダラより一回り小さく感じる。 |
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2016年10月9日、3令幼虫 小雨が降りしきるなか、庭のエノキを観察していると、3匹の幼虫(ゴマダラチョウ2、アカボシゴマダラ1)を見出した。ゴマダラチョウの幼虫2頭は、2令幼虫と3令幼虫が1頭づつであった。3令幼虫(写真右)は、夏に見られていた同令幼虫に比較して、その体形に変化が見られる。夏型ではアカボシゴマダラよりスレンダーに見えた体形が、秋型ではずんぐりとした印象を与える。また、背部の突起もゴマダラチョウの特徴を現している。このまま越冬幼虫になるのであろうか・・・? 幼虫のこの体形を考慮すると、このまま越冬幼虫になることが予想される。 |
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2017年8月17日、ゴマダラチョウが産卵にやってきた 真夏だというのに、曇天と降雨が続く。久々の晴れ間に庭を散策していると、ゴマダラチョウが緩やかな飛翔で目の前に現れ、側のえのきに産卵を始めた。庭のエノキでゴマダラチョウが産卵する姿を見たのは初めてだったので、夢中になってカメラを構えた。今年は春からアカボシゴマダラとマダラチョウの数が少なく、心配していたところだったので、これで一安心。まだまだ楽しませて欲しい。 |
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