オーレリアンの庭 | |||
(1)我が家のバタフライガーデンをめざして |
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ミツバチやチョウに優しいガーデニング・記録 2016年 | |||
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時節ごとの変化・気がついたこと | |||||||||
2016年度 | |||||||||
春(4月〜6月梅雨前)に見られるチョウ 今年はチョウの出現が少し早いような気がする。 3月なると、暖かい日にはキタテハが頻繁に庭を訪れている。アブラナ科の仲間が花を咲かせ始めると、一挙にモンシロチョウが登場し始め、ツマキチョウがそれに混じる。今年の特筆すべき事柄は、昨年暮れから食草のエノキから見つけ出したアカボシマダラの幼虫を追跡したこと。越冬からその目覚め、幼虫の成長と蛹化、そして羽化・・・とその一連を観察した。 4月になると、ナミアゲハ、モンキチョウ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、ツマグロヒョウモンなど、まだ蜜源としての花が一般に十分に咲いていないと思われるのに、多種のチョウが活発に躍動する姿が見られたのには驚かされた。 4月の中旬になると、ツマグロヒョウモンが姿を現し始め、4月の末には、庭で観察されていた多くのジャコウアゲハの蛹が続々と羽化し始めた。まだ食草のウマノスズクサが大きく成長していないし、庭で開花している様々な花を蜜源として好まないようで、ずっとその姿を観察していた私を心配させる。果たしてとうとう諦めたのか、ついにはほとんどチョウが訪問する姿をほとんど見ないデルフィニウムの花に蜜を求めた。これらは全て無加温ハウスで栽培していた花で、普通に庭で栽培している株にはまだまだ花が咲かない状況である。早春に登場するチョウは、蜜源にはよほど苦労していることが推察される。 5月になって、コミスジ、アサマイチモンジ、ルリタテハが姿を見せている。また、昨年には気がつかなかったアカボシゴマダラが身近で頻繁に出没していることがわかった。オオスズメバチの捕獲するために作成したトラップにアカボシゴマダラとマダラチョウの飛来が確認された。これらのタテハチョウの給餌を目的にバナナトラップを準備したところ、サトキマダラヒカゲの来訪を確認し、後にはアカボシゴマダラも訪れるようになった。 5月に中旬になると、バタフライガーデンはさらに活気づく。サトキマダラヒカゲ、アカボシゴマダラ、ゴマダラチョウの吸樹蜜性のタテハチョウのみならず、キタテハやツマグロヒョウモンが多くなり、さらに、大型のアゲハチョウの仲間が目立ち始める。庭で羽化したと思われる多くのジャコウアゲハが頻繁に庭の中を飛翔し、下野市ではさほど多くは見られないアオスジアゲハが頻繁にブッドレア・アルテニフォリアやバーベナ・ボナリエンシスを訪れる。翅の痛み具合から、これらのほとんどの個体は同一のものではなく、複数の個体が入れ替わり立ち代わり飛来していると考えられる。大型の黒いアゲハ(クロアゲハ or カラスアゲハ or ナガサキアゲハ)が時折庭の中を飛翔するも、そのスピードは極めて速く、花の蜜を求める状況ではないようだ。庭のガーデンテーブルに腰を据えて庭の花を眺めていても、晴れた日には一時も視野からチョウの姿が消えることはない。 5月下旬から6月上旬は一時的にチョウの種類が減った。特に、アゲハチョウの仲間の姿が激減したようだ。ジャコウゲハは終令幼虫から蛹の時期で、越冬した蛹から誕生した成虫が産卵して展開する第一世代の時期がほぼ同じ時期に収束していることが予想される。アゲハチョウの仲間は同じような状況なのに違いない。 6月下旬になると、チョウの世界は活発になる。まず、ナミアゲハが驚くほど大発生し、庭の花を賑やかしてくれる。温州みかんへの産卵も激しく、その幼虫の数は大変になる。これらの幼虫は丹念に取り除き、カラスザンショウに移した。次いで、ジャコウアゲハが目立つようになる。その緩やかな優しい飛翔には、眺めるたびに癒され、一時でもとても優しくなれるような気がする。雌は頻繁にウマノスズクサを訪れており、その卵も驚くほどの数になる。また昨年のように食草が消えるほど幼虫が大量発生することになるのだろうか?今年は早めからチェックして、多目の幼虫は自然に移動することにしよう。また今年は、ナガサキアゲハを良く見かけるようになった。飛翔が俊敏で、なかなか写真が撮れないことは今まで変らないことであるが、花を訪れる雌の姿も多い。一瞬、モンキアゲハと見間違えることも・・・。まだまだ観察が必要で、特に産卵の現場を確認したい。 7月上旬、 7月に入っても、庭は意外に賑わっている。特にブッドレアにはチョウの姿を見ないときはない。7月6日にはクロアゲハが長時間滞在し、7日には3年ぶりにウラナミシジミが姿を見せた。何れも嬉しいことに、ゆっくりと写真を撮ることができた。今年の初夏は充実した内容と思われる。来年に向け、スミレ(野生の宿根型・・・ツマグロヒョウモンの食草)、ホトトギス・サルトリイバラ(ルリタテハの食草)、スイカズラ(アサマイチモンジの食草)、ウツギ(卯の花・・・蜜源)、アシタバをさらに3本などを新たに植栽した。今年の2度目のサイクルを経た世代のジャコウアゲハの羽化が盛んになり、庭で緩やかな飛翔を楽しませてくれる。それに伴い産卵が著しく盛んで、昨年以上に食草が不足することが予想される。早めに弱令幼虫を処理する必要があろう。7月9日、しとしとと降りしきる雨の中、ナガサキアゲハの雌がモナルダを訪れている日本画のような美しい姿を見た。写真が撮れなかったのが残念。 7月中旬、梅雨が明けず、曇天が続く。小雨が降りしきる中でも、特にブッドレアを訪れるチョウの姿は消えることがない。そこで、花を咲かせ続けるために、最盛期を終えた花殻をマメに除去することに勤めている。ここには、特にたくさんのツマグロヒョウモン、キタテハ、ヒメアカタテハが庭中を飛び回っている。幸せだなあ・・・。7月18日は久々の晴天。朝から気温はドンドンとあがる。しかしチョウはいたって元気。最も活発なのは、少し涼しさの残る午前中。庭を飛び回る黒いアゲハチョウのほとんどがジャコウアゲハで、今や庭はジャコウアゲハの集会場のよう。大きく繁茂している食草ウマノスズクサの周りには、いつでも数頭のジャコウアゲハ(雌)が飛翔しているので、ウマノスズクサが危機に瀕するのは時間の問題となろう。畑では、ニンジンに産卵するためにたくさんのキアゲハが訪れている。庭の周りにはキアゲハのいろいろな食草を植栽しているが、ニンジンとミツバが特にお好みのようで、パセリ、イタリアンパセリ、アシタバ、セロリなどからは、幼虫を見出したことは数えるほど。なかなか花に留まってくれないので、カメラに収めることこそできないものの、カラスアゲハの姿はよく見かけるようになった。産卵に来てくれているに違いないが・・・幼虫が見つからない。 7月下旬、ようやく梅雨が明け、暑い日が続く。この時期になってアカボシゴマダラが続々と訪れるようになり、エノキへの産卵を目撃。エノキを精査すると、卵はもちろんのこと終令幼虫も見つけることができた。ブッドレアを訪れるタテハは相変わらずだが、目立つのはアゲハの仲間。特にキアゲハが多い。既に、ミツバは最盛期を終え、食草はニンジンが主となる。畑のニンジンにはその卵がものすごい。大きくなったカラスザンショウでは、今までなかなか見つからなかったクロアゲハの幼虫を見出し、ネットをかけて蛹化するまで観察することができた。また、待望のカラスアゲハの幼虫にも、ようやくお目にかかることができ、ネットで保護しながら観察中。我が家の庭で、ライフサイクルを営むチョウの仲間がどんどんと殖えていくのを確認することができ、本当にうれしい。チョウにも認めてもらえる庭になってきたかな? これからは、種を特定して狙い撃ち。ホトトギス・サルトリイバラでルリタテハ、スイカズラでイチモンジとアサマイチモンジ、スミレの野生種で夏のツマグロヒョウモンなど。楽しみだ。 8月上旬、目の前に現れるチョウの種類と数は極端に減少した。庭で観察できるチョウの状態をみると、主にアゲハの仲間では、そのほとんどが終令幼虫〜蛹であった。これらは8月の中旬〜下旬に庭を飛び回ることになるだろう。庭を賑やかしていたモンシロチョウやキタテハ・ヒメアカタテハなどのタテハの仲間でさえ姿を消してしまった。この暑い日中を飛び回っているのは、イチモンジセセリと南方から北上してきたツマグロヒョウモンくらい。気温が33〜35℃にも上がる真夏にあっては仕方がないだろう。まずは、お盆が過ぎるまで静かに待つことにしよう。しかし、今年は異常気象。例年ならお盆頃から鳴き始めるツクツクボウシが7月の下旬からなき始めていた。どうなることか? ちなみに、昨年はカブトムシの総攻撃を受けたブドウ ・・・ 今年は果実袋で保護したことから被害は皆無。チョッと淋しい気がする。 8月下旬、残暑厳しい折りからチョウの種類や数は相変わらず少なめだが、新しい世代のチョウが目立つようになってきた。特に目につくアゲハチョウの仲間では、まずナミアゲハが多くなり、次いでジャコウアゲハが飛び回り始めた。全滅したように見えたジャコウアゲハの食草ウマノスズクサも元気に新しい蔓を大きく伸ばしてきたが、ここでまた多きなダメージを受けると来年の生長に差し障りとなるので、幼虫を少数に制限するとにしよう。その他、明らかに我が家で育ったと思われるキアゲハやクロアゲハが庭を飛び回る。この庭で今までほとんど見られなかったクロアゲハが頻繁に見られるようになったのは、私が保護した幼虫から羽化した4頭も含まれていると思われる。実はその過程で、保護した幼虫の過半数は寄生されているという現実を突きつけられた。卵や極若令幼虫から保護すると、確実に成虫の羽化が期待される。その意味でも、カラスアゲハも頻繁に飛び回るように期待したい。タテハの仲間では、ツマグロヒョウモンを先頭に、ヒメアカタテハやキタテハがヒャクニチソウやブッドレアの花を頻繁に訪れる姿が再び蘇ってきた。どのチョウも、秋から冬に向けての大きな増殖期を迎え始めたようだ。 9月上旬、台風の接近と大雨で気候は大きく変り、日中は暑いものの夜は至って過ごしやすくなった。晴れた日にはチョウが多く見られるようになり、庭はやや賑やかになってきたようだ。特に、ジャコウアゲハの産卵が激しく、せっせと間引く必要があろう。また、ミヤギノハギの周りではルリシジミの雌が頻繁に訪れ産卵行動が頻繁に観察できる。エノキの周りではアカボシゴマダラが旋回する姿がよく見られ、その産卵が期待される。 10月、9月から10月はさえない天気が続いた。晴れた日には、ブッドレアを多くのチョウが訪れる。本当にありがたい蜜源だ。特にタテハチョウの仲間が多い。秋になって目立つのはアカタテハであろう。夏には主役だったキタテハやヒメカタテハに代わり、その貫禄とも言えるような存在感を感じさせる。ツマグロヒョウモンは相変わらず多い。この夏には野生のスミレを準備したことから、庭から成虫のみならず幼虫の姿が消えることはなかった。暑い夏には姿を隠していたミドリヒョウもの姿も良く見かける。黒いアゲはといえば、ジャコウアゲハだけと言えるほど目立っている。空気の涼しさに伴ってウラギンシジミが飛来するようになった。ミヤギノハギへの産卵を期待して注目しているが、未だに見たことがない。しかし、このミヤギノハギで、ツバメシジミやうウラナミシジミの発生が新たに確認されるという嬉しい事象が記録された。また、今年はアカボシゴマダラが四六時中庭の周りを飛び回り、いつでも各ステージの幼虫が観察でき、この中にはゴマダラチョウの幼虫も含まれていることが分かった。各食草・植樹では、終令幼虫や蛹が目立つ。これらの幼虫や蛹はこのまま越冬するのだろうか? まだチョッと早いかな? 11月、 10月の末から11月になって、チョウの種類は圧倒的に減少した。アゲハの仲間は越冬態の蛹となり、アカボシゴマダラはほとんどが既に4令の越冬幼虫になっている。今年の秋は、「今年の草花」の項でも述べているように、夏を生き延びたものが意外に多く、色とりどりの花を咲かせている。しかし、チョウのお気に入りは、やはりブツドレア。ブッドレアは降霜まで咲きつづけるので、蜜源としては問題ないだろう。チョウの種類は、やはり成虫で越冬するタテハの仲間で、特にキタテハとヒメアカタテハが多い。また、我が家の庭でもたくさん殖えたと思われるツマグロヒョウモンは、残り少ない時間をブッドレアの花とともに楽しんでいるようだ。想定外に雄の数が多いのに驚く。幼虫はパンジーの葉を丸裸にするほど食い荒らしているので、その数と生育は順調のようだ。また、我が家の庭で生まれたものであろうか、キタキチョウが目立つようになった。越冬する場所を探しているのだろうか。これからは、我が家の庭に住み着いているチョウの、それぞれの越冬態を探すことにしよう。11月の中旬になり、降霜と同時に越冬成虫以外のチョウの姿が消えた。ツマグロヒョウモンなど、前日まで庭を飛び回っていたのに・・・全く見なくなった。そういえば、あちこちで目についたヤマトシジミも姿を消した。年内に消えて行くチョウの成虫は、降霜が大きなきっかけとなるに違いない。 12月 11月の末には50年ぶりの初雪が降り、その後も繰りかえし冬の寒さが訪れるようになった。チョウには滅多にお目にかかれなくなったが、暖かい日和にはキタテハやキチョウの姿が時折見られる。12月8日も暖かい一日で、午後に散歩をしていると、目の前にモンキチョウのメスが飛来した。モンキチョウは幼虫で越冬するはずなんだけど、こんな時期に成虫がいるなんて信じられない。残念ながら、カメラを持っていなかったので記録に残すことができなかった。比較的長い時間静止していたのだが・・・本当に残念! 昨年の冬に、1月にモンシロチョウの幼虫を見つけたことを思い出す。越冬形態にもいろいろな例外があるのだろうか? この現象が異常で、このまま消滅していくのだろうか・・・知りたいな? チョウがよく訪れる花 4月 キャベツ、コマツナ、ミズナ、ダイコン、ケールなどアブラナ科の花、ダイコンソウ、クリサンセマム・ノースポール、シバザクラなど 5月 バーベナ・ボナリエンシス、ブッドレア・アルテニフォリア、ウツギ(ウノハナ) 6月 バーベナ・ボナリエンシス、ブッドレア、リアトリス、ヒャクニチソウ、モナルダ、ユリ(ご近所では) 7月 バーベナ・ボナリエンシス、ブッドレア、ヒャクニチソウ、モナルダ、エキナセア 8月 バーベナ・ボナリエンシス、ブッドレア、ヒャクニチソウ 9月 バーベナ・ボナリエンシス、ブッドレア、ヒャクニチソウ、エキナセア、マリーゴールド、ミヤギノハギ 10月バーベナ・ボナリエンシス、ブッドレア、ヒャクニチソウ、チトニア・トーチ 11月バーベナ・ボナリエンシス、ブッドレア、ヒャクニチソウ、チトニア・トーチ、メランポディウム、西洋マツムシソウ 降霜と共にほとんどの花は終焉を迎え、ビニールハウス内で降霜を免れるジニアと西洋マツムシソウのみが残り、ミツバチの訪問を受けている。 |
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越冬する姿が認されたチョウとその形態 ミヤマカラスアゲハ(蛹)、ジャコウアゲハ(蛹)、並アゲハ(蛹)、 クロアゲハ(蛹)、 カラスアゲハ(蛹)、 ヤマトシジミ(蛹)、モンシロチョウ(蛹)、ルリシジミ(蛹) アカボシゴマダラ(幼虫)、 |
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