我が家の庭の訪問者(その2)
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我が家の庭で見出された、訪問客についての面白いテーマ。見出すの大変ですが・・・。 | |
(1)ナミアゲハ マリーゴールドを食べるナミアゲハ | |
ナミアゲハがマリーゴールドの葉を食べて育っている。嘘のような本当の話。庭の温州ミカンがナミアゲハの総攻撃(?)にあい、瞬く間に葉がなくなっていく。もともと、みかん果実を楽しむという目的より、アゲハの幼虫が育ってくれるように食草にすることが目的で植えた温州みかん(ナガサキアゲハに来て欲しい)2本が、根づいて大きくなる前に枯れてしまう。今では5本目のミカンの木だ。ミカンの木が枯れる理由にはいろいろとあるだろうが、もっとも大きな理由にアゲハによる食害があろう。 | |
しばらくはアゲハに我慢してもらおうと、心を鬼にしてアゲハの幼虫を少し離れたところに放り投げていた・・・さすが、殺すことはできない・・・同じことかな? そして、幼虫を放り投げていた先が、マリーゴールドが繁茂しているところだった。あるとき、ふと気が付くと、マリーゴールドの葉のジャングル?(茎の林?)の中に緑色の終齢幼虫をみつけ、また、育ち続けていると考えられる幼虫が次々と見つかった。さらに・・・幼虫の糞、脱皮殻・・・蛹こそ見つからないものの、立派に育っているようだ。探してみると、明らかにマリーゴールドの葉を食べている幼虫を見出した。そういえば、このマリーゴールド、葉がほとんどないほど食害にあっている。今まで全く気がつかなかった。これ・・・本当? このような現象は、他にも記録されているのでしょうか? 蝶との付き合いは60年近くになるけど、全く知らなかった。でも、ここ、我が家の庭では厳然たる事実です。 | 完全に丸裸にされたマリーゴールド。この原因が、 ナミアゲハの幼虫だとは全く気がつかなかった。 |
食事中のナミアゲハ4令幼虫。ものすごい食べっぷりです。 | ナミアゲハの脱皮殻。生育している証拠ですね。 |
ナミアゲハの終齢幼虫。このあと、幼虫は蛹化するために何処かへ放浪すると思われる。従って、幼虫のその後は不詳。 |
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(2)ツマグロヒョウモン メスがオスを誘惑していた? 信じられますか? | |
真夏のある日の午前中、今日は写真を撮ろうと庭を探索していると、東側のブッドレアの木陰(かなり広い空間がある)の地面に突然ツマグロヒョウモンのメスが着地し、風に吹かれたように少し体(羽)を横たえた。アレ、どうしたのかなと思っていると・・・しばらくして、オスがその上に着地し、交接を始めた。事実(誘惑したかどうか)はともかく、メスがオスを誘惑したように見えた・・・ほんとうです。約5分くらいして、オスは飛び立って行き、次いで、メスが視界から消えることになった。ほんとうに珍しい、貴重な体験をした。 (右写真)いきなり、木陰に着地したツマグロヒョウモンのメス。 写真を撮るにはチャンス・・・と思ってシャッターを切った。 |
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暫くして、メスが少し体(羽を)を横たえたかと思ったら、いきなりオスがその上に飛び降りてきて交接を始めた。驚きましたね・・・ほんとうに。このメス・・・やるもんだなあ・・・と、感心した。 |
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(3)モンキチョウ ルピナスに産卵 | |
2015年5月30日、モンキチョウがルピナスに産卵。 ほとんど花の終わったルピナスの周りを俊敏に飛翔するモンキチョウ(雌)を見つけた。まだモンキチョウの写真を撮っていなかったので、カメラを片手に追いかけ回したところ、ルピナスの葉に止まって産卵を始めた。モンキチョウは、確かにクローバーなどを主とするマメ科の植物食草とするが、まさかルピナスに産卵するとは思っいてもみなかった。卵(写真右)も確認されたが、果たしてこの卵から孵化した幼虫が育つかどうか・・・? 暫くは食痕に注意しながら観察していよう。 2015年6月。その後観察していると、異なった個体の雌が入れ代わり立ち代わりルピナスを訪れ産卵していく。もはや、ルピナスは完璧な食草に見える。卵は1〜2日で孵化するが、その後幼虫は不明。何者かによる食痕は多く見られるが、それがモンキチョウの幼虫によるものかどうかは不詳。かなりの数の幼虫がいるはずなんだけど・・・。 |
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産卵中のモンキチョウ雌 |
親が飛び去ったあとにはモンキチョウの卵が・・・! |
(4)モンシロチョウ(雄)の大好きな台? | |
早春のモンシロチョウ登場する時期から、かなり頻繁にオスが鉄パイプの端(切り口)をカバーする青色のプラスチックキャップに留まろうとする不思議な姿を見てきた。 通常は着地する振りを見せても着地せずに飛び立つことが多いが、写真右のように着地することもある。なぜだろう? この行動を取るのは決まってオスなので、キャップをメスと間違えているのだろうか?紫外線を吸収して黒く見えるのはオスの方なので、キャップと紫外線とは関係がないように思えるのだが、この理由はよくわからない。どなたか、この訳をご存知の方はお知らせいただければ幸甚です。 |
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*ある方からとても重要なヒントをいただきました。モンシロチョウのオスは、形や大きさにかかわらず、紫外線を反射するものをメスと勘違いして近づくそうです。この青いキャップが紫外線を反射しているのかも? でも、紫外線を反射するものなんて数多くある。その中で、メスと判断する材料は、反射された紫外線の量的なものなのかも知れない。 |
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(5)ジャコウアゲハ 洋ランの花から吸蜜 | |
2015年 7月6日(雨) 雨の中、ジャコウアゲハは活発に飛び回り、吸蜜する姿がよく見られる。写真右はとても珍しい吸蜜の風景。日本では通常見られない、東南アジアの熱帯〜亜熱帯に自生する洋ラン(Rhynchostylis retusa:リンコスティリス・レツーサ)の花に、とても熱心に蜜を吸う姿を見出した。ランは、雨に当てるのと観賞用として、前夜に温室から庭に持ち出したもの。 花の香りにに惹きつけられたのだろうか、それとも、蜜の匂い? 実は、この光景は朝から2度目。最初はオスの到来であった。ジャコウアゲハはかなり長時間に渡って滞在。よほど気に入っているようです。よく見る通常の花でなくても、気に入った花をちゃんと見分けるのですね。 とても不思議な光景です。 |
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Rhynchostylis retusa の花 |
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(6) モンシロチョウの食害でキャベツの味が変わる? | |
有機農法では、ある意味では覚悟し、受け入れなくてはならない現実。4月中旬に10本ほど植えたキャベツはすべて写真のように・・・レースのようになってしまった。もちろんモンシロチョウによる食害で、全く手も足も出ない。この現実を逃れるには、苗をネットでカバーするしかないだろうが、キャベツの株が大きく育つので、通常のネットでは不十分。まあ、今回はモンシロチョウさんに差し上げることにしよう・・・と、思っていた。 | |
しかし、7月の初めになって、上に紹介したキャベツが立派な玉を作り上げているのに気がついた。玉を観察すると、アオムシの食痕があるにはあるが、少し見られるだけ ・・・ ヒトが食べるには全く問題がない。早速収穫して、大きなキャベツを家内に手渡した。これまた早速、お昼にサラダで食卓にのぼり、その味に期待しながら有機栽培のキャベツを一口 ・・・ あれ、少し苦いかな? 食べるに困ることはないが、ちょっとね? 旨い!って、ガツガツとはたべられないなあ。なぜだろう? ひょっとして、アオムシに痛めつけられたキャベツが、自分を守るために苦味の物質を生産して、モンシロチョウの産卵を回避させたのかしら? モンシロチョウはキャベツの味が解るという記事をどこかで読んだことがある。それで、食い荒らされたキャベツはモンシロチョウが嫌がる物質を生産するようになり、その結果、青虫がほとんどいなくなってキャベツが育ったのかもしれない・・・と、思ったのだが。どなたか、ご存知の方がおられましたらご教授ください。 | |
株の周り(外側)の葉にはモンシロチョウの青虫による激しい食痕が認められるが、キャベツの玉はほとんど青虫の食害がなく成長した。しかし、その味は ・・・ チョッとね? | |
(7) モンシロチョウの幼虫越冬 | |
2016年1月11日、 暖かい昼下がりに畑を散策、春キャベツの食痕に気がついた。ヨトウムシによる食痕と思ったが、よく観察すると、何とモンシロチョウの終令幼虫(写真上左右)を見出した。それも、一匹や二匹ではない ・・・ ザクザクと。やはり、暖冬による異常現象であろうか?モンシロチョウは蛹での越冬が普通。このまま幼虫で越冬するのだろうか? さもなくば、一刻も早く蛹にまで生長すると良いのだけど。引き続き観察することにする。 |
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2016年1月下旬、 極寒の朝になると、庭や畑にあるものは写真(左)のように降霜で真っ白になる。触れると ・・・ バリバリ、葉は完全に凍っている。このあと、これらの葉が陽光に当たると、元通りの新鮮な葉に戻るのには驚かされる。 そして、この凍った葉の間にはモンシロチョウ(写真上)の幼虫が潜んでいる。幼虫も凍って ・・・ 暖かくなると動き出す・・・ しっかりと生き返るんだ ・・・ 驚きの連続! だって、本当に幼虫はいきている(写真上)もの。この状態は、幼虫での越冬とはいえないのだろうか? |
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(8)キアゲハの壮絶な交尾行動 | |
2016年7月25日、 庭の地面でバタバタと音がする。振り返ると・・・闘争とも見えるキアゲハの壮絶な交尾行動(写真下)が展開されていた。飛んだり・・・地面に叩きつけられるような音を立て、地面を転がるように激しく動き回る。本当に喧嘩のよう。この行動は5分以上にもおよび、ひたすらにカメラを構える私をただ感動させた。こんなに激しい行動を見たのは初めてで、これはキアゲハに特徴的なものなのか? それとも、どんな種でもよくあることなのだろうか? 赤い矢印は雄の交接器。 |
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(9)アカボシゴマダラの卵を守るアリ? | |
2016年7月30日、一瞬孵化と思ったが、レンズを通して拡大してみると、卵に興味を持った小さな蜂(写真左下)のようだ。ところがしばらくして、一日中頻繁に卵の周りを巡回しているクロアリが、瞬時にこの蜂をくわえて去っていった。詳細には分からないが、やはり、アリはチョウのライフサイクルに深く関わっている(保護している)のだろうか? | |
(10)ツマグロヒョウモンの妙な産卵 | |
2016年10月20日、 とても大きく美しい翅を持ったツマグロヒョウモンの雌が、食草のパンジーの近くをフラフラと緩やかに飛びまわっていた。産卵の意思がありそうだったのでカメラを構えて観察していると、メスは腹を大きく曲げてその先を地面をこするように移動し、パンジーの近くの細い枯れ枝に産卵行動を見せた(写真下左)。その後も、あたかも地面に産卵するように同じ動作を続け、パンジーの根元付近にも産卵したように見えた。直ぐに、その枯れ枝を観察すると、写真のように鮮やかな卵が一つ。アップしてみても、間違いなくツマグロヒョウモンの卵であることが確認された。ツマグロヒョウモンは、必ずしも食草そのものに産卵するばかりでなく、その近くにでも産卵するようだ。 |
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パンジーの近くの枯小枝に産卵するツマグロヒョウモン |
このあたり(赤矢印)に産卵? |
腹の先を地面につけたまま移動 |
腹の先を地面につけて移動し、パンジーの根元に産卵 |
確認すると確かに・・・卵が |
アップして、ツマグロヒョウモンの卵であることを確認 |
(11)モンシロチョウとスジグロチョウのクレオメへの産卵を確認 | |
2017年6月16日、モンシロチョウとスジグロチョウのクレオメへの産卵を確認した スジグロチョウの産卵行動を観察しているとき、スジグロチョウだけでなくモンシロチョウもほぼ同時に、アブラナ科ではないクレオメ(フウチョウソウ科)に産卵する姿を目撃し、さらにその卵を確認した。また、クレオメを精査すると、たくさんの両種の卵ばかりでなく、生育中のモンシロチョウ(と思われる)2令幼虫を発見した。これらの結果から、モンシロチョウとスジグロチョウはクレオメを食草として繁殖していると考えられる。 |
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クレオメに産み付けられたモンシロチョウ(アカマル)と スジグロチョウ(赤矢印)の卵 |
スじグロチョウの卵 100mmマクロレンズで撮影 |
モンシロチョウの卵、100mmマクロレンズで撮影 |
クレオメで成長するモンシロチョウの3令幼虫 |
(12)キアゲハがエチゼンハゴボウ(キク科)に産卵 | |
2017年9月15日、庭で小苗を植え替えていた時、私の近くで緩やかに飛翔するキアゲハの雌が現れた。私を警戒することもなく、あたかも疑似産卵と思われるような行動をとりながら周りを飛び回る。ところが驚いたことに、すぐ近くのエチゼンハゴボウの若葉に産卵(写真下)したのだ ・・・ 本当に。産卵場所を間違えることなどないはずなのに・・・。周りを見渡しても、本来食草となるべきセリ科の植物は見当たらない。どうしたことなのだろう。もちろん、これからも観察は続けるが・・・。 | |
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