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パフィオペディルムの栽培は、他のランに比べると比較的低い温度でも可能だ・・・と、古くからよくいわれてきた。本当にそうなのだろうか? パフィオペディルムに限らず、ランの栽培は奥が深く、最良の方法については安易に結論を下すことができない。それは少し冷静に想像してみると、容易に理解することができる。それぞれの自生地に行っても、そのランがあたり一面に、見渡す限りギッシリと密生しているわけではない。いわゆる自生地においても、ランが生育している場所としていない場所がある。これはパフィオペディルムの生育が、日当たり、風通し、水の供給、根回りなどの細かな環境条件に大きく左右されることを意味する。種子はもっと広範囲に散布されていると考えられるが、これらの種子が実際に発芽して生育できるのは、極限られた環境においてのみ達成されることになる。従って、パフィオペディルムの生育環境を語るときには、自生地というマクロな環境条件と、自生地の中で実際にパフィオが生育しているミクロの環境条件とを共に配慮する必要がある。例えば、我々が自生地でそのパフィオを栽培しようとしても、必ずしも良好な栽培ができるわけではない。これは、マクロの条件が満たされていても、後者のミクロの条件が満たされないと、決して良好な栽培がでるわけではないことを意味する。しかし、このような細やかな配慮ばかりを論じていては、ラン、とりわけ、ここで扱うパフィオペディルムを栽培することはとうていできないであろう。そのような自然環境を考慮しながらも、我々の大胆とも言うべき方法で少しでも良好な栽培を達成するために、あれこれと工夫しなくてはならない。 さて、日本パフィオペディルム研究会(JPA)の例会では、毎回必ず、特定のテーマにおける栽培について、参加者全員で熱心に議論している。発足当時から繰り返し繰り返し議論されるなかで、いくつかの好ましい条件が浮かび上がってきている。例えばその一つが、ここで紹介する「パフィオペディルムの高温栽培」である。このタイトルは必ずしも適切ではない。なぜなら、JPAでは「一部の低温を好む原種を例外として、その多くの原種や交配種は18℃以上の環境で栽培することが好ましい。」という結論に到達したからである。さらに、「苗の栽培や、ゴデフロィエ、アントン、ニビウムなどのブラキペタラムの一部の栽培では、最低温度を20℃にして、冬でも生育を止めないようにすることが好ましい。」という。すなわち、パフィオペディルムを良好な状態で育てるには、普通でも18℃以上で栽培するのが好ましいということになる。我々は、パフィオペディルムを冬の最低温度を15~16℃位で栽培しているのが一般だろう。この設定温度を「普通」と表現すると、18℃は高温となることから、敢えて「パフィオペディルムの高温栽培」とした。事実は、高温が普通の栽培条件と言うことになるのだが ・・・。 我々が実際にパフィオペディルムを栽培することにおいて、温室を18℃以上に保つことは容易なことではない。事実、私の温室は10坪の農業用鉄骨ビニールハウスで、冬の最低温度を17℃(実際には16℃くらい)に設定している。冬には2重の内張をしているにもかかわらず、真冬の外気最低気温が零下8℃に達するときには、農業用暖房機は一晩中回り続け、一晩で20Lの石油を消費することがある。このような環境で、温室を18℃を維持するのは現実として困難といえよう。強引に敢行したら、別なところで生活の破綻を生じ、パフィオペディルムのみならず私自身が冬の寒空の中に放り出されないとは限らないからだ。 パフィオペディルムを高温で栽培するにはいくつかの方法が考えられるが、なかでも最も現実的な対策として「温室内温室」があるので、ここに紹介することしよう。実はこの調査は、私自身にとっても意味深いものがある。なぜなら、いままで関心を持ちながら実行に移せなかった「温室内温室」を、私自身が、自分の温室内に小型温室を構える決心をしたからだ。そこで、皆さんにご協力いただいた情報をまとめて紹介する(現在進行形)とともに、私のこれからの実際の経験を、随時報告しながら紹介することにする(未掲載)。 |
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パフィオペディルムを20℃以上の高温で栽培されている方、是非、情報をお寄せ下さい。多くの皆さんからのご協力をお待ちいたしております。また、皆さんの経験やお考えなども、なんなりとお寄せ下さい。 E mail : tanatoshi@jichi.ac.jp |
目的 パフィオペディルムの高温栽培(最低温度20℃)を目指し、温室内温室の構想と栽培状況・結果を観察する。 |
パフィオペディルムの高温栽培を可能にするアイデア | |
(1)温室内温室 | |
(2)温室の一部を区切る | |
(3)その他のアイデア |
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材料 |
1.温室内の構築物(温室内温室) (1) ワーディアンケース (2) 市販の小型ビニール温室(最も実用的であり、実際例が見られた)。 (3)農業用ビニールハウスの鉄パイプで、適切な大きさのものを自作(選択)。 |
2.暖房 (1)小型温室用暖房機( 熱風式加温機、パネルヒーター、床式暖房機など) |
3.扇風機 |
4.加湿 |
5.換気扇 |
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亀井 隆 さん | 栃木県宇都宮市 |
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小林 良一さん | 栃木県足利市 | |
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斉藤 正博さん | 茨城県つくば市050102 | |
(4) | 田中 利典(自作編---進行中) | 栃木県河内郡 | |
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バンビー奈良さん | 千葉県千葉市 |
ご協力下さった皆様に、心から感謝いたします。 |
皆様方には、ご自身の温室を紹介して頂く前に、以下のようなアンケートに答えていただきました。 |
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外枠の温室について | ||
1) | 温室の広さ | 坪(m2) |
2) | 暖房の方法 | 温湯 or 温風 |
3) | 設定最低温度 | ℃ |
温室内温室について | ||
4) | 温室の広さ | 坪(m2) |
5) | 材料 | (1) ワーディアンケース (2) 市販の小型ビニール温室。 (3) 農業用ビニールハウスの鉄パイプで、適切な大きさのものを自作。 (4) その他 |
6) | 暖房の方法(消費電力) | (1) 熱風式加温機 (2) パネルヒーター (3) 床式暖房機 (4) その他 |
7) | 設定温度 | ℃ |
8) | 扇風機の大きさと台数 | |
9) | 湿度対策 | (1) 加湿器 (2) 水まき(バットに水を張る) (3) その他 |
10) | 他、情報何でも・・・・ |
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