ベトナムのパフィオペディルムNO.7

トピックス!!!

(16) ヘルマンニー ( Paph. herrmanii )

新しく発見されたパフィオ(NO4)参照

ベトナムのパフィオ(NO.8)ヘンリアーナム参照

ヘルマンニーはかつて中国南部のベトナム国境地帯で発見された希少種として報告されていたが、この度、ベトナムの北部地帯にかなり広く分布する普通種であることが明らかになった。ベチナムのパフィオ(NO.)で紹介した不明の品種がヘルマニーであったことが、つい先日(9月の始め)ベトナムから報告された。

この品種の株は、エスキュロレイの株より一回り小さく、株柄は中国産のヘンリアーナムに酷似していた。しかし、株の基部に見られる紫紅色の細点は、ヘンリアーナムの紫紅色の滲みやエスキュロレイの紫紅色が認められない状況とは異なっていた。それで、この株の品種は何か、その花が咲くのを楽しみにしていたのだ。そして果たして、この株から咲いた花は話題の極希少種とされていたヘルマンニーだったのだ。そして、残念ながら(?)、決して珍しい品種ではなかった。

ヘルマンニーは普通上に示した写真のように、緑白色の覆輪をもった褐色美の強い花を咲かせるが、ときにはこの写真のように赤味の強い花を咲かせる個体もある。何れの花もポーチはピンク系で、種の起源の片親と考えられているエスキュロレイの形態と色彩を感じさせる。

 花の形態や色彩を考慮すると、エスキュロレイの性質が強く現れていると思われる。また、一方、ヘンリアーナムの形質も認められるが、ヘンリアーナムに特徴的なドーサルセパルに見られる粗い点は一切認められない。この品種のもともとの起源は、エスキュロレイとヘンリアーナムの自然考察と考える学者も見られるが、やはり即断はできないだろう。いずれにせよ、あるチャンスで生まれた突発的な自然交雑種ではなく、大きな群として生育・分布する品種と言わざるを得ない。たとえ種の起源が自然交雑としても、アントンやコンコ・ベラチュラムnような独立した品種として格上げすることを私は提案する。

NO.8へつづく

NO.1へもどる