2.コンポスト(植え込み材料)と植え方

パフィオペディルムを栽培する植え込み材料について話しをするには、パフィオペディルムの植えかえを前提にして話さざるを得ない。パフィオペディルムを植え替える必用があるときは、1)植え込み材料が古くなったとき、2)鉢が狭く感じるほど株が育っているとき、3)塩障害などの病症を示し、根を清浄にする必用があるとき、等である。植え込み材料には色々あるが、どれを用いるかは栽培者により決めるべきことで、改めて推薦することはできない。なぜなら、栽培環境や栽培者の性格により栽培方法は大きく異なるため、それに応じたコンポストを選ばなくてはならないからである。

(1)水苔

<準備>

 水苔はできるだけ新鮮なものを用いるようにする。適当な量をバケツにとり、水をたっぷりと与えて一晩おく。翌日、水苔を団子のように丸めて、押しつぶすようにして水を絞り出し、新聞紙の上にばらして広げる。少なくとも数時間、水苔がさらっと湿っている程度にまで乾燥する。

植え替え(図参照)

 鉢は、素焼鉢、ブラスチック鉢、ビニールポットなど何でもよい。初心者にはビニールポットを勧める。

(a) 株の根を傷めないように鉢から株を抜き出し、古いコンポストを取り除く。腐敗した根や、枯れた葉なども取り除き、時には、適切なところで分割して株分けを行う。
(b)規定のさらに2倍くらいに希釈した殺菌剤(ベンレートやマンネブ・ダイセンなど)と殺虫剤の混合液に数秒浸す。特に株分けした時には、その切り口に、ペースト状に水で溶いた殺菌剤(病虫害参照)を塗布することが好ましい。

(c)株のすぐ下、根の中央部に大粒の軽石(日向石・セラトン)をかませるようにして持ち、周りに水苔を巻き付ける。この時、水苔をクルクルと巻き付けるのではなく、水苔の線維が縦になるように、くっつけるように乗せていくのがよい。根を傷めないように気をつける。根の下部まで巻き付ける必用はない。上部はやや多めにし、下部は少なめに、水苔を垂らすようにしておくとよい。
(d)根を傷めないように、ポットに詰め込む。上部の水苔は多めになっているので、力を入れて押し込むと、株はしっかりと固定されるはずである。株の中央と株は、水苔が少なめで、柔らかく詰まるのがよい。
(e)植え替えた株は遮光を多めにし、水を控えめ(いつもやや湿っている程度)にして、1ケ月ほど注意しながら栽培する。肥料は与えない。

初心者向きの植え替え

 初心者にとって、水苔植えは意外に難しい。植え方がまずくて、水やりが多すぎると、根はたちまち腐ってしまう。水苔植えの、初心者の失敗は’根腐れ’である。そこで、ね腐れが起こりにくいように、鉢の下半分にあたる空気の層を石で置き換えてしまうとよい。
(a) 株の根を傷めないように鉢から株を抜き出し、古いコンポストを取り除く。腐敗した根や、枯れた葉なども取り除き、時には、適切なところで分割して株分けを行う。
(b)規定のさらに2倍くらいに希釈した殺菌剤(ベンレートやマンネブ・ダイセンなど)と殺虫剤の混合液に数秒浸す。特に株分けした時には、その切り口に、ペースト状に水で溶いた殺菌剤(病虫害参照)を塗布することが好ましい。
(c)ビニールポットに大きめの軽石(日向石・セラトン)を、およそ半分入れる。株は上記と同じように水苔を巻き、石の上に詰め込む。水苔の上部が堅めに詰まり、株が充分に固定されるように注意する。

 この方法の欠点は植え替えである。うまく育って、根が鉢いっぱいに巻いて育っていると、同じ方法で植え替えすることが難しい。このような場合には、まず、株をポットに入れ、鉢の半分くらいまで新しい石材で満たす。次に、水苔を直径2〜3センチに丸めて、根の間から突っ込んでいく。最上部の株を固定するするところは、多めの水苔を周りに巻き込むようにして突っ込む。最後に、鉢の周りを棒で押し込むようにすれば、上部は平坦になり、株は強く固定される。

 

2)バーク、あるいは、クリプトモス(杉皮)の単用につづく

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