2)バーク、あるいは、クリプトモス(杉皮)の単用

 一部の品種については、バークあるいはクリプトモス(杉皮)の単用による栽培が適していることがある。いずれのコンポストもサイズに分けた均一なものが市販されているので、適切なものを選択するとよい。しかし、市販されているものの中には、粉末状の細かい破片が混入しているものがあるので、フルイでふるってこのような破片を取り除いた方がよい。

クリプトモスをフルイでふるったもの。左は使用するクリプトモス。右はふるって出てきたクズ。’クズは含まれていない’と言われていても、やはり出てくる。

カナダ産バークをフルイでふるったもの。左は使用するバーク。右はふるって出てきたクズ。ふるう前のバークは、乾燥していないと、クズが取れにくいので注意すること。このように、ふるって均一にされたバークは、同じようにふるわれた石材と混ぜられて、ミックスコンポスト(ミックスコンポスト参照)となる。

杉皮(クリプトモス)は乾燥しやすいため、水苔を10〜20%の割合で混ぜることもある。確かに水保ちはよいが、その分腐敗は早くなる。選択は自由です。

方 法

(a) 株の根を傷めないように鉢から株を抜き出し、古いコンポストを取り除く。腐敗した根や、枯れた葉なども取り除き、時には、適切なところで分割して株分けを行う。

クリプトモスに植えて1年以上を経過した鉢。コンポストに指を突っ込むと、ズボッと底まで容易に到達する。株を鉢から抜き出すと、コンポストは泥のように腐っていた。植え替えが遅れた、典型的な例である。

きれいにコンポストを取り除くと、真っ黒になった根が現れた。成長を続けている根があるのが救いだが、多くは腐ってしまった。根の状況から、水やりが多すぎたようだ

少し早めの植え替えをすると、順調に伸びた根が観察される。時には、写真のように、株を押し上げるように、たくさんの根が伸びることもある。このくらいの時期に植え替えすると、植え替え後も順調な生育が約束される。
(b)規定のさらに2倍くらいに希釈した殺菌剤(ベンレートやマンネブ・ダイセンなど)と殺虫剤の混合液に数秒浸す。特に株分けした時には、その切り口に、ペースト状に水で溶いた殺菌剤(病虫害参照)を塗布することが好ましい。
(C)クリプトモスの場合には根の周りにクリプトモスをくっつけるようにして全体に巻きつけていく。水苔の場合と同じように、根の下部は飛び出していてもかまわないので少なめにし、上部(株の付け根あたり)には鉢のサイズの20〜30%増しくらい多めに巻き付ける。全体を鉢に入れ、上部を強く押し込むようにして固定する。全体的に、柔らかめでも、堅めでもよいが、初心者には少々堅めに植えることを勧める。しかし、鉢の下部は柔らかめが望ましい。ビニールポットを用いると、側面からコンポストの状態が感触で判断できるので便利である。鉢を水に漬け、同時に、上部から水をかけ、コンポストにタップリと水を染み込ませる。植え替え直後はコンポストが乾きやすいので、クリプトモスが茶色から褐色に変化するまで、比較的頻繁に水を与える。

根を手で覆うようにして持ち、根の周りにクリプトモスをくっつけるようにして全体に巻きつけていく。

根の下部は飛び出していてもかまわないので少なめにする。鉢に入れると、鉢の下部は丁度よいくらいの堅さになる。

 

 全体を鉢に入れ、上部を強く押し込むようにして固定する。

注意(1)  バークの場合には、株を鉢の定位置に固定するか、あるいは、片手で定位置に保持しながらバークを根の間から流し込むようにして埋めるようにする。最下部には、大きめのサイズのものを入れ、上部には小さめのものを用いる。鉢の下や縁を軽く叩いてコンポストを締め、上部から水を与える。バークを湿らせると、鉢全体がしっかりと締まって株が固定できる。

注意(2)  これらのコンポストをもちいると、一部の品種には飛躍的ななの伸長を促し、素晴らしい生育を示すことがあるが、コンポストが劣化し始めると、根は急速に腐敗するので植え替えの時期を間違えないように注意する必要がある。また、粗悪な材料を用いると、カビの仲間がはびこり、逆に生育を遅らせるだけでなく、根を腐らせることがあるので注意を必要とする。

栽培に適切な品種;  整形交配品種、ブラキペタラム亜属とパービセパルム亜属(デレナティー以外)の系統以外の品種。

3)ミックスコンポストにつづく(ここをクリック)

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