(3) 主な殺ダニ剤とその性質

・.主な殺ダニ剤とその性質
1.マイトコーネFL
散布濃度;1000倍
原体は従来にない新規化合物「ビフェナゼート」(一般名)を20%の割合で含むフロアブル剤。
既存の殺ダニ剤とは異なる化学構造および作用点を有し、既存の薬剤に抵抗性を発達させたハダニ類にも高い活性があります。有用昆虫や天敵に対する影響も極めて少ない薬剤
2. オサダンFL 
散布濃度;1000倍

各種のハダニ類に効果が高く残効性にすぐれ、長期間にわたってハダニ類の発生を抑え初期のダニ防除にきわめて効果的です。
ダニの幼虫や若虫に極めて強い殺虫作用(食毒・接触毒)を示し、散布 〜4日後に死亡します(遅効性)。卵期に散布しても孵化後の幼虫に対して効果を発揮します。 捕食性ダニ・寄生蜂・テントウムシ(天敵)やミツバチ(有用昆虫)に対する影響が少ない薬剤です。本剤は長時間静置すると分離するので、必ず振ってから使用します。散布液調製後は速やかに使用します(沈殿)。
3. コロマイト乳剤
散布濃度;1000倍

どの生育ステージの虫に対しても効果があります。即効性。他剤との混用及び近接散布により薬害が発生しやすい薬剤です。
4. サンマイトFL
散布濃度;1000倍

ナミハダニ、カンザワハダニの各ステージに活性がありますが、特に幼虫、若虫にすぐれ、効果は即効的です。
アブラムシ類(特にワタアブラムシ)、チャノキイロアザミウマに対しても活性があり同時防除が可能です。
5. コテツFL
散布濃度;2000倍
広い殺虫スペクトルを持っており、従来の薬剤に抵抗性を発達させたコナガ・アザミウマ類・ナミハダニなどの難防除害虫に対しても優れた効果を発揮します。
分離しやすいので希釈の際は充分に攪拌し、薬剤が均一に分散するように散布液を調整してください。害虫のいずれのステージにも効果がありますが、リンゴハダニおよびミカンハダニには効果がありません。 作物の種類や生育ステージによっては薬害の発生がみられます。テスト散布により発生の有無確認が必要です。
6. オマイト乳剤
散布濃度;1500倍

亜硫酸エステル系の殺ダニ剤で各種のハダニに強い殺虫力を示し、持続効果が長く抑制期間は約1ヶ月にもおよびます。新芽の萌芽期から展葉期に薬害を生じやすいのでテスト散布による確認が必要です。
7. ピラニカEW
散布濃度;2000倍

経口・経皮により殺ダニ効果を示し、ハダニの卵から成虫まで高い殺ダニ活性をもっています。効果は即効的で残効性もあります。しかし近年、農作物で各種ハダニ類に抵抗性の発達が見られ問題になっています
ヲ.生物防除
 ハダニに対してはカブリダニ類という天敵がいますが、メス成虫は1日当たりハダニの成虫5頭と卵を30個ほど捕食するといわれています。
 近年、海外から捕食能力の高い種を導入して放飼する、いわゆる生物農薬がイチゴなど施設栽培で実用化されています。チリカブリダニという種類で商品名を「スパイデックス」、「カブリダニPP」として販売されています。今のところ、ランのガラス温室での使用知見がありませんが、将来はおそらく利用可能になると思います。

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