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山家 弘士 (日本パフィオペディルム研究会) |
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ハダニと昆虫の違い |
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パフイオに寄生するハダニの種類と生態 |
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ハダニの発生と被害の様相 |
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防除時期と殺ダニ剤使用に当たっての注意点 |
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殺ダニ剤の分類と特性 |
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薬剤抵抗性 |
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主な殺ダニ剤とその性質 |
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生物防除 |
. ハダニと昆虫の違い |
分類学上ハダニは昆虫綱とは別のクモ形綱に所属しています。 昆虫の成虫の身体は頭部、胸部、腹部の3つの部位に分かれ脚は3対6本あります。これに対しダニの成虫はクモと同様、頭と胸が一緒になった頭胸部と腹部の2部位からなり脚が4対8本あります。 このように分類学上全く異なる生物であり、多くの殺虫剤は代謝経路の違いから一部を除いてハダニに対して効果がありません。ハダニ防除を行うには殺ダニ剤の使用が不可欠です。 |
. パフイオに寄生するハダニの種類と生態 |
ハダニ類の繁殖は極めて旺盛で年間10数世代を繰り返します。特にハウスのような高温乾燥下では極めて旺盛に繁殖し、25〜28℃の乾燥下で卵期間2〜3日、幼虫〜若虫期間6〜7日で成虫になります。 卵から孵化した個体は幼虫、脱皮をして第1若虫、第2若虫を経て成虫となります。各ステージの間には静止期がありこの間は活動を休止します。 メス1頭あたりの産卵数も平均100卵に及ぶものがあり、短期問のうちに温室全体に拡散し著しい被害を与えます。 |
1、ナミハダニ |
形態: |
黄緑型(ナミ型)と赤色型(ニセナミ型)があります。ナミ型には淡黄緑色の夏型(胴部に2黒紋を持つ)と淡橙色の休眠雌(黒紋を欠く)があります。一方、ニセナミ型は常に赤色、体長0.58mm内外。 雄成虫はいずれの型とも体長0.45mm内外。卵は淡黄色、球形、産卵当初はほとんど透明ですが、孵化直前になると淡赤色に変わります。幼虫は体長約0.2mm、ほぼ円形で脚は3対ですが成虫の脚は雌雄ともに4対です。赤色型は最近までニセナミハダニと呼ばれていましたが、黄緑のナミハダニとの間に遺伝子交流がみられることから、現在ではナミハダニと同種とする意見が強いようです。 |
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生態: |
ナミハダニは作場における優先種となっている場合が多く、薬剤に対して抵抗性の発達がみられ、その程度も他のハダニ類よりも大きい場合が多いようです。本種は本来冬期に休眠しますが加温ハウス内では休眠しない場合が多いようです。 また、カンザワハダニに比べて低温時の産卵数が多いのも特徴です。また、ニセナミ型は暖地に多く休眠性を持ちません。露地での年間発生回数は10回前後。発生盛期には1世代を10日ぐらいで経過します |
2、カンザワハダニ |
形態: |
夏型雌はくすんだ赤色〜赤褐色で不規則な暗色部を持ちます。前胴体部の赤い眼点より先端は白色。休眠雌は鮮赤色、体長0.53mm内外。雄成虫は淡赤色、黄赤色など寄主によって変異が見られます。体長0.45mm内外。 |
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生態: |
下草内での繁殖も盛んで棚上への移動も頻繁に行われます。梅雨明けから急激に増加して8月頃ピークになることが多い。1世代の経過に必要な日数は20℃で約3週間、25℃で約2週間。 1年間の発生回数が多いので、夏にはすべての生育ステージが混在します。年間の発生回数は10回程度、露地では6〜7月と10月ごろの2回発生のピークがあります。下草の処理が必要です。 |
3、ミカンハダニ |
形態: |
雌成虫は卵円形で、ビロード状の赤色。13対の淡褐色の太い胴背毛が赤色のコブから生えます。脚は白味を帯びた橙色。背中の後体毛の各対間には縦条がある。体長0.45mm内外。雄成虫は赤色で体長0.36mm内外。通常肉眼で確認しているのは雌成虫 |
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生態: |
卵は赤橙色で葉の脈沿いに産み付けられる事が多く、休眠はしません。年の世代数は10数回におよびます。25℃における1世代に要する期間は約2週間。 春になって気温が8〜10℃以上になると増殖が始まり、28℃くらいまでは温度に比例して増加しますが、気温が高くなる夏季は増殖が一時鈍り秋期に再び急増します。 |
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