設立の趣旨
日本国内においては、いわゆる洋ランの栽培では既に100年以上、東洋蘭やエビネ、セッコク、フウラン等にいたってはその何倍もの歴史があります。永い歴史の中で地域的な、あるいは対象ごとの団体や組織が存在し、それぞれが特色を持った組織として独自の活動をされておられます。1987年に開催されました「第12回世界蘭会議」並び「世界蘭展」の開催を機に、それまで独自の活動をしてきた多くの組織が初めて一同に会し、協力して会議を成功させました。こうしたことを契機として、団体間の相互交流、協力、友好関係も漸次進展しつつあることは誠に喜ばしいことと存じます。
一方、ランの世界においても環境、自然保護問題に関する意識が高まり、野生生物を保護・保全するために国際取引を規制する目的で制定されたワシントン条約では、全てのラン科植物は付属書Uに含まれるにいたっております。また、パフィオペディルム属、フラグミペディルム属の全ての種が付属書1に含まれるようになりました。一方国内にあっては、野生ラン305の内、225が絶滅危惧種の指定を受けるなど、この20年間で大きな変化がありました。違法に持ち込まれた植物の売買が違法であることはもとより、それらを親株として作出された園芸品種は、その登録さえも拒否されるという状況になっております。また、これまではランの保護と言えば、その取引を規制することが主でしたが、現在では自生地において保護する事はもとより、自生地全体の生態系を保護・保全する、或いは積極的に繁殖、植え戻す等、様々な活動や研究がなされております。2003年には「野生生物の種の保存法」も改正され、ラン科植物の原種の取引は勿論、栽培することについても、これまで以上に国内の法律はもとより国際ルールを遵守することが要求されており、全てのラン関係者は、共通の認識を持つようせまられております。
しかし残念ながら我が国には、英国におけるラン関係団体連絡協議会(British
Orchid Council)のような、ラン関係団体が共通する問題(例えば野生ラン保護問題、国際交流、審査、栽培資材など)について、情報の共有化と意見を調整する場がありません。このような確立した組織はいずれ必要とは思いますが、今直ちに我が国で構成するには、討議すべき課題が多々あり、直ぐに間に合うことではありません。
我々幹事団体は、昨年2月に、初めての会合を持って以来数回の打ち合わせを行い、様々な角度から議論を重ねてきました。共通する問題への対処をはじめ、知識、情報の交換・共有をはかり、「ランの世界」が健全な発展をするためには、「ランに関する情報連絡会」を設けることが必要であるとの結論にいたりました。
当初は、ランの保護・保全に関するテーマでスタートしますが、審査基準や審査員の教育・指導に関する事、ラン展の支援や講師の派遣に関する事、保護活動の支援等々、様々なテーマや問題を共有し、検討することで、すべてのラン関係の組織や団体が、さらに発展することを目指しております。
但し、この情報連絡会は、各団体や組織の統合するものではありませんので、個々の組織の独立性、独自の活動に影響を与えるものではありません。
以上の趣旨で、趣味家、業者さらに研究者とランに関係する組織・団体が一同に会する「ラン関係団体情報連絡会」を設立し、別紙の要領にて「第1回ラン関係団体情報連絡会」を開催します。皆様方には、本趣旨をご理解頂き、ご参加をお願いする次第です。
以上
幹事団体(アイウエオ順)
国際野生生物保護連盟ラン部会(IUCN)日本支部
全日本蘭協会
日本・蘭協会
日本洋蘭農業協同組合
蘭友会
(2005.1. 設立集会の案内文より)
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