パフィオペディルムの新品種(その14)

No.18

Paph. hangianum (ハンギアナム)

またまたベトナムから発見された新種の紹介です。この新種ハンギアナム( Paph. hangianum ) はベトナム北部、バック・タイ県の標高800~1000のところで発見され、ホルガー・パ−ナー博士とオラフ・グルース氏によりドイツの雑誌オーキッド(Die Orchidee)に掲載されました。

ハンギアナム

( Paph. hangianum )

 写真でも解るように、ハンギアナムはエマーソニーに似ています。しかし、リップは丸く、風船のように膨らんで内部にはエマーソニーに見られるような点はほとんど見られません。花を見るとエマーソニーとマリポエンセとの交配種メモリア・ラリー・ヒューエル( Paph. Mem. Larry Heuer ) に似ていますが、次のような点で大きく異なっています。ペタルはとても大きくて丸く展開し、スタミノードは菱形で、赤色の脈のような筋が入っています。花はやや黄色味を帯びた淡い緑色を示しています。株幅は22cm~35cm。葉は長さ12~25cm、幅3~4.6cmくらいで、艶のある深い緑色を呈しています。
 ベトナムからの情報によると、この新種はやはりエマーソニーやベトナメンセに近いところに分布しているそうです。場所からすると、マリポエンセや他のマリポエンセの近似種の分布と離れた場所です。この新種がエマーソニーと他種との自然交雑種であることを否定することは出来ませんが、この新種の葉を見ると、ベトナメンセやマリポエンセとの交配とは考えにくいと思われます。この葉はマリポエンセの葉に酷似し、両者には見られる典型的な紫紅色の点が見られないからです。

ハンギアナムのスタミノード。エマーソニーのそれとは大きく異なる。

ハンギアナムの株と花を横から見たところ。花茎は15~23cmの長さを示す。

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