パフィオペディルムの新品種(その11)

No.15

  Paph. potentianum
   (ポテンティアナム)

実は、この品種は少し古い報告です。とは言っても、ワシントン条約でパフィオが第1類に指定された後ですから、新種と言っても差し支えありません。この品種、ポテンティアナムは1995年、オラフ・グルース( Mr. Olaf Gruss )氏とイェルゲン・レス( Juergen Roeth )氏がイタリアの雑誌Caesianaに発表したものです。タイから発見された新種として発表されましたが、これに類似した品種は全てカロッサム ( Paph. callosum ) の変種として扱われるご時世です。でも、典型的なカロッサムもあればタイランデンセのようなタイプもありますね。本当に、変種として簡単に扱って良いものでしょうか。我々趣味家は、良く似た品種でもちょっとした違いを捉えて、それを大切に考える傾向にあります。必ずしも正しいとは言いませんが、コロニーの違いを明確に表示することは大切だと思います。即ち、それぞれの正しい情報が必要なのです。オラフ・グルース氏は、この品種について何でもご存知の方はその情報を送って欲しいと言われています。私のところでも、オラフさんへ直接でも構いません。連絡をお待ちしています。オラフ・グルース氏のe-メールアドレスは a-o.gruss@t-online.deです。カロッサムの変種として私が提案したカロッサム v. ベトナメンセ と共に紹介し、カロッサムの分類に問題を提起したいと思います。

この品種には、カロッサムの特徴であるペタルの上部淵に見られる黒褐色のイボが見られません。また、1.5 ~ 2 mm の細毛がペタルの先端まで生えているのが特徴です。花は開花後少々時間がたっており、ポーチが褐色味を帯びてきています。


参考:Paph. callosum v. vietnamense 
     カロッサム v. ベトナメンセ

この品種は、上記の種とは対照的にペタルに黒褐色のイボが全面に現れる種です。花はタイランデンセに似ていますが、肉厚で力強く咲きます。ベトナムには典型的なカロッサムの分布していますので、カロッサムの変種ベトナメンセと命名しました。参考までに、ここにもう一度紹介しておきます。

Paph. callosum  v.

vitnumense

ホーチミンの趣味家の話しによると、アルバム個体は1つ(写真)しか見つかっていないと言う。

Paph. callosum  (代表的な個体)

ベトナムでの詳しい分布は不明であるが、いわゆる普通のカロッサムも見られることが解った。彼らは、ベトナムにバーバタムがあると伝えてきたが、写真を見ると典型的なカロツサムであった。花の形態、大きさ、ペタルの斑点など、前者とは大きく異なる。極めて濃色の個体があると聞くので、ビニカラー個体の発見も夢ではないかも知れない。

パフィオペディルムの新品種(その12)へつづく

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