本当に不思議な花だと思いませんか。両者{(Phrag. besseae x micranthum,写真下)と(Phrag.
besseae x malipoense)}を比較すると何かが見えてきそうな感がします。これら交配は母親に Phrag.
besseae を用いていますので、Phrag. besseae の交配には間違い有りません。花を見ると、Phrag.の特徴が認められないことから「フラスコでの移植操作の時に誤った」と批判されるかも知れません。しかし、2つの交配でとてもよく似た花を咲かせていることから、先のような単純な判断は難しいでしょう。また、この花を見てbesseaeではなく、Cochropetalumとmicranthumあるいはmalipoenseとの交配ではないかと疑問視される方もおられるかも知れませんが、micranthumやmalipoenseを用いた(
Parvisepalum x Cochropetalum ) の交配では、これらのような花は咲きません。花の印象からだけで判断すると、今までの経験から(
Brachypetalum x Cochropetalum ) にとても似ているのです。すなわち、花の印象からだけで判断すると、記録された両方の親とは似ていないことになります。前回の結果(写真下)だけからでは間違いではないかという恐れが強く残り、簡単には結論が出せない状況でした。しかし、この度の結果が加わったことから、あながち単純に否定できない状況になったと思われます。両者(2つの)の結果を総合的に見て、1)
交配するときに、誤った交配を重ねて行ったとは考えにくい。2) フラスコ操作中によく似た交配を、それも、異なった結果を出す失策を重ねて行うとは考えにくい。3)
共通して実際の交配記録とは一見関係のない( Brachypetalum x Cochropetalum )に酷似した花を咲かせている。特に、ドーサルセパルのスジやポーチの形体はParvisepalumともPhragmipediumとも異なっている。4)
花粉側の花の違い、すなわち、micranthumとmalipoenseの違いは結果において認められる。micranthumを用いるとピンク系が強く、malipoenseを用いるとグリーン系が強く出ている。5)スタミノードの上部に見られる細毛はPhragumipediumに特徴的な性質を示している。5)
maipoenseを用いた交配では、スタミノードの色彩がmalipoenseの交配の特徴を示している、 等が上げられます。
これらの交配については、科学的な手法により判断するのが適切なのでしょうが、そのような判断ができない現状では、状況証拠の積み重ねから判断するしか方法はないと思われます。そこで、上に述べた結果から、これらの交配の結果は、ただ花が似ていないから交配そのものを否定するだけで済ませるのではなく、 (
Phragmipedium x Parvisepalum ) の交配の花は ( Brachypetalum x Cochropetalum
) の花に酷似た花を咲かせるという可能性を捨ててはならないと思います。
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