(2)エッグフライの作り方 |
(2)-1:材料 |
a : エッグヤーン(各色) |
エッグヤーンは、釣具店でエッグを作る材料として市販されている。基本的にどこの製品でも構わない。目的に応じ、また、状況により魚の微妙な興味の変更に対応できるように、さまざまな色彩のヤーン(写真1)を用意しておくとよい。季節・天候や時間を問わず、ほとんどオールマイティーで使用できるのはベージュや薄いオレンジ色がベースとなるエッグ(朱の目を付けた)であることから、これらの色彩の材料を基本として準備することをお勧めする。エッグにはどのような色彩でも良いと述べたが、実際に釣果を比較すると、その差にわずかな色の違いが関わっていることに気付くようになるようになる。同じ製品でも、ロットによって微妙に色合いが変わることがあるので注意を要する。好みの色を作るのに、日やけを利用したりすることさえある。 |
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写真1( 各種ヤーン ) |
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b : フック |
写真2のように、エッグフライに適切なフックは比較的ゲイブが広いもので、、ガマカツ、ティムコ、ケン・クラフトなどから市販されている。いずれの製品でも構わないと思われるが、ゲイブの大きさとその形態から、魚のかかり具合が経験的に最も良いと思われるガマカツのC12(写真右端)をお勧めする。本音を言うと、これしか・・・。サイズは好みによるが、#10から#14が適当であろう。私は#12、及び、#14を愛用している。特に小さなエッグフライを作りたいときには#16を用いる。 |
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写真2 (エッグフライに用いるフック。左からケン・クラフト、
ティムコ、ガマカツ) |
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c : スレッド |
スレッドはエッグの中に隠れてしまうので、素材や太さなどの違いについて細かい注意は不要と思われる。あえて言うならば、色彩は使用するヤーンの色彩と同系統のものを用いるようにし、太さは6/0か8/0を用いる(普通ですね)。 |
(2)-2:作り方 |
a : フックをバイスに固定する(写真3)。 |
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(写真3) |
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b : 糸を巻き、巻いた部分のちょうど中央あたりに糸を結び、セメントをつけて固定する(写真4,5)。
糸を巻く幅は、エッグで糸が隠れる程度。 |
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(写真4) |
(写真5) |
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c : 1~1.5cmくらいに切ったヤーン(写真6,7)を2つくらい準備し、写真7のようにほぐし、それらを両側面からシャンクを挟むように維持する(写真8,9)。ヤーンはスレッドがちょうど中央になるように位置すると良い。ヤーンの数は#16では1つ、#10では2.5くらいがめやす。多めにすればエッグが硬めになり、少なくすると柔らかいエッグとなる。全体に均一な堅さのエッグを作るため、ヤーンを写真7のようにほぐすとよい。 |
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(写真6) |
(写真7) |
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(写真8) |
(写真9) |
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d : エッグに目を付けるために、同じくらいの長さに切った目となる色彩のヤーンを、1本の1/5~1/10くらいをほぐして取り(写真6)、フックに準備したヤーンの上にのせる(写真8,9)。目に用いるヤーンの色彩は基本的にどのような色彩でも良いが、濃色のオレンジあるいは朱色が普通で、エッグ全体の色彩より濃色にした方がよいようだ。また、目がないものより有るものの方が高い効果があると思われるので、目を付けたエッグを作製することをお勧めする。 |
e : ヤーンの上から糸を3~5回巻き、強く締めて結ぶ。セメントで結び目を固める。(写真10) |
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(写真10) |
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f : エッグをバイスから外し、ヤーンを前後から巻いた糸に向かって押し広げて駒(太鼓)のように押しつぶす。(写真11)
g : エッグの外周を想像しながら、はさみで円筒状に切り取る。(写真12) |
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(写真11) |
(写真12) |
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h : 前後から円筒状になったヤーンの角をハサミで丸く切り落とす。
i : もみほぐして全体を均一にする。(写真13)
j : エッグの形に丸く刈揃えて(写真14)、完成。
実は、もっと簡単な作成方法もあります。この方法は少々手が混んでいますが、完成品は頑丈で質が高く、自慢できるものだと思います。 |
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(写真13) |
(写真14) |
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参照:朱の目が入った各色のエッグフライ(写真15) |
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写真15 |
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(2)-3:エッグフライから発想の展開により誕生したフライたち。 |
a: 金魚フライの誕生 |
私は、お恥ずかしながら、一年以上にわたりエッグフライを徹底的に追及してみたことがある。誰にでも釣れると言われながら、かつて悪戦苦闘したことがあるからだ。その結果、その解決策の一つは釣れるエッグフライを自分で作ることと、さらに、そこから派生するイメージをふくらませて、エッグフライの変奏曲を奏でることであった。特に熟考を重ねたわけではなく、エッグフライを作っていると、ふと思いつくままに作るだけである。ところが、これらの一部は結果として、既に市販されているフライに酷似しているものがあるのには驚く。人間の発想なんて、所詮よく似たものであることに感心する。でも、確かに良く釣れる。 |
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エッグに目を付けたフライ。目には、金、銀ビーズや本物の目のイミテーションを用いる。 |
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エッグに尻尾(マラブー)を付けた。マドラーのようですね。 |
尻尾ばかりでなく、目も付けた。まさに金魚フライ!。 |
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b : ミニ金魚フライの作製 |
小型のエッグフライを作ることと、おもりを内蔵させること考慮して、以下のようなフライを考案した(酷似したものが市販されています。タコフライ・・・)。
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b-1:フック(#14か#16)をバイスに固定し、球状のウェイトをシャンクに挟み固定する。ウェイトとアイの間を3mmほど開け、そこにスレッドを巻いて固定する。 |
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b-2:アイの方から2cmくらいに切り取ったヤーンの約半分を、ウェイトを包み込むようにしてのせる。
b-3:スレッドを3~5回くらい強く巻いて固定し、ウェイトの後方に移しておく。 |
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b-4:ヤーンを全体に均一にほぐして開く。 |
b-5:ヤーンをウェイトを丸く包み込むように後方へおりかえし、ウェイトのすぐ後ろでスレッドを3~5回巻いて固定する。 |
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b-6:尻尾を適切な長さに切り取り、ほぐして形を整える。 |
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c : いわゆるジャパニーズ・バグの誕生 |
エッグフライで快調に釣っているうちに、エッグが壊れて球形でなくなってしまうことがあった。にもかかわらず、魚は釣れ続ける・・・。結論、何も球形をしている必要はない。それでは、形を崩してみよう。 |
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最初はヤーンを用いたが、巻き具合の都合からイヤーズヘアーやグースに変えることにより、色彩にも多様性が可能になった。またここでも、金色や銀色のビーズなどを付けると、更に効果が上がることがある解った。どちらが良いというわけではないが、いろいろなパターンを作って、臨機応変に使うとよいだろう。 |
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白色のヤーンやオーロラシートでで尻尾を少し付けてみると、これも効果が上がることが解った。 |
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ここで紹介しているフライは、ただ今までに作ったことがあるものを紹介しているわけではなく、実戦に効果があったものです。中には、単純なエッグを越える効果が期待されるものが多く含まれる。また、スレてきた魚の目先を変えるのに適切と思われる。 |
d: イモ虫フライ(蜂の子フライ) |
子供の頃、蜂の子を針につけて川で小魚を釣った事を思い出す。今思い起こせば、あのときに針の先につけた餌はカディスのラーバなど・・・だが、何も気にせず、お兄さんたちのやることを見よう見まねで使っていた。ふつう水生の虫を使うことが多かったが、蜂の巣を見つけると必ず取ってはその幼虫を魚釣りの餌にしたものだ。蜂の子は、餌として使うと、本当によく釣れる(ハヤですが・・・)。一連のフライを作っているうちにその記憶がよみがえり、適当な思いつきではあるが、蜂の子をイメージしたフライを作ってみた。自称イモ虫フライ。でも、これが予想以上によく釣れる。今では、朝夕のマヅメにはエッグフライを用い、昼間はイモ虫フライを用いることが常套手段になっている。フックにボディーマテリアルを巻き付けた実に単純なもの。リードは巻いても巻かなくてもよく(私は原則としてフライにリードは巻き込まない)、また、ワイヤーを巻いてもそれほど効果は上がらないことも解った。単純にイモ虫で良い。ただし、金のビーズは時により極めて高い効果を示すことがある。他の色については、透明や真珠色、銀など色々と試してみたが、効果があるどころか効果が低下する場合が多く認められた。マテリアルの色は白と淡いベージュ色が基本的な色彩として有効と思われる。 |
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