初心者のための

パフィオペディルムの栽培

パフィオペディルム( Paph.: Paphiopedilum )は、シンビジウムやファレノ プシスと共に最近見かけるようになっきた洋蘭の一つです。よく、低温でも栽培 できる最も簡単な洋ランとして紹介されますが、必ずしもそうではありません。 なかには、確かに低温でも比較的よく生育する品種もありますが、多くは上手に 栽培するにはなかなか難を要します。洋ランのなかでは熱狂的な愛好家が多く、 ポプラーな品種として定着しつつありますが、本格的な栽培は洋ランの中でも最 も難しいものの1つです。自分の栽培する品種をよく知り、適切な環境で栽培す るように十分な注意をはらってください。

 パフィオペディルムはカトレヤ(属)、シンビジューム(属)、デンドロビウム(属)と同じように、ラン(ラン科)の仲間(属)です。原種は、主にインドネシアから中国の南部にいたる東南アジアに広く分布しています。時には食虫植物と間違えられるような大きな袋状の芯弁をもつ、その特異な容姿は魅力的で、多くの愛好家に栽培されています。しかし、今では、ワシントン条約により原産地での採集と商業的売買が世界的に禁止され、国内では株分けで増殖させるか、交配(同一品種同士の)によりその子孫を増やすしか方法がありません。最近、特に人気が増してきたパフィオペディルムは、このような原種を増やすばかりでなく、異なった原種同士を交配したり、色々な品種を目的に応じて多様な交配を行い、新しい観賞価値のある品種が次々と交配され続けています。パフィオペディルムに興味を持たれた方は、最初は栽培のしやすい原種や原種交配を入手して、栽培の練習から始めましょう。花のついた株を入手された方は、その株から新しい芽が伸び始め、夏・冬と難しい季節を無事に乗り切って育った新しい株から、再び花を咲かせることを体験すると、あなたはパフィオペディルムの虜になるはずです。ここに、初心者のための栽培法を準備しました。まずは、チャレンジしてみて下さい。そして、本当に虜になったとき、また、お会いしましょう。また違った意味で、いろいろと協力できるものと信じています。

パフィオペディルムの品種

 パフィオペディルムは原種のほか、交配の違いにより下記のように分類されて います。

原種

ミクランサム

スクハクリ

ロスチャイルディアナム
 東南アジア原産のパフィオペディルムは50種以上の原種があり、これらは生育地の温度や日当たりなど、それぞれ独特の環境で生育しています。原産地とよく似た環境で栽培することが最良ですが、それぞれの品種による差異も大きいことですし、国内で類似の環境を作ることは温室を用いても不可能に近いことです。従って、これらの原種には、我々の作ることのできる環境で我慢をしてもらわなければなりません。原則的に、非常に異常な環境で栽培しているということを忘れないようにしてください。

原種交配品種

サイキ

ドルゴルディ

セント・スイシン
 上記の異なった原種同士を交配して作出した人工的な品種です。 お互いの原種の特徴がおもしろく現れる特徴のある個性的な花を咲かせることか ら、最近非常に人気が高くなっています。原種に比べると環境には順応しやすく なっているため、栽培は容易な品種が多いようです。

特殊交配

オリエンタル・フリーズ

エメラルド

ロビン・フッド
 整形交配といわれるような品種に改良されるまでの過渡期にあたる品 種で、原種の影響を強く現している品種といえるでしょう。最近では、特徴のあ る個性的な花を期待して、整形交配品種に原種や原種交配品種を交配して作出す ることが好まれているようです。

整形交配品種

サンフランシスコ

オルチラ

ビア・トーキョウ
 原種をもとにして長い交配の結果、大きくて丸い花を咲かせるよ うに改良されてきた品種です。花の色により、黄花、赤花、点花、レインボーカ ラー、白花などがあります。株により多少の差はありますが、一様に栽培しやす いものが多いようです。

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