プラ鉢作ろう会

主催:日本パフィオペディルム研究会・研究委員会
プラ鉢作成プロジェクトチーム  代表責任者 小林良一
報告者: 田中利典


 日本パフィオペディルム研究会のプラ鉢作成プロジェクトチームでは、以前よりメンバーによる議論を重ねながら、鉢の大きさや形態ばかりでなく、プラスチックに含める様々な材料を考慮し、順調に作製に取りかかってきました。最近、一部の会員から実際に鉢作りを体験してみたいという要望があり、それにお応えする意味でも、また、是非一度会員の皆さんにプラスチックの鉢がどのようにして作られるかを見ていただきたく、この度、プラ鉢作成プロジェクトチームが主催して、皆さんと一緒にプラスチック鉢の作製を体験する会を実施しました。
日時: 11月17日(日)
参加者:
6 名 
場所: 小林 良一 氏の工場
〒326-0003
 栃木県足利市名草下町4001
 


みんなでプラ鉢を作ろう会 (NO.1)
この度の会には、都合がつかなくて参加できなかった会員の方々がたくさんおられてまことに残念だったのですが、宇都宮にある特許セラミック・セラヒートで知られているサプライコントロール社の社長 高橋さんも特別に参加されました。
では、いまから、プラスチック鉢が作られていく行程を、皆さんに紹介しましょう。
参加者の皆さんで、まず、どのような鉢を作製するかが議論されました。プラスチック鉢の金型は既に作られております(後述)ので、鉢の含まさせる成分についての議論です。


当日集められた、プラスチックに混合する色々な素材です。この中から適当な成分を選別し、また、どれくらい混合するかを議論しました。
成分として選別されたものは、
1) セラヒート (サプライコントロール社の特許セラミックス)
2) 酸化アルミナ(60%)と酸化珪素(40%)の混合物
3) 酸化アルミナ
4) 木炭粉末
5) 竹炭粉末
6) ヤシ殻活性炭粉末
 等です。
次には、プラスチックへ含める素材(セラミックスなど)の量を決める必要があります。以前のデーターを参考にして、含有量と遠赤外線の放射量を考慮し、15%にすることにしました。
さて、次に、プラスチック鉢の金型について紹介しましょう。
私は、以前、サプライコントロール社の高橋社長と出光石油にセラミックプラ鉢の製作をお願いしたことがあることから、金型についてある程度は知っていました。でも、実際に実物を見るのははじめてなのです。
URL http://www.orchid.or.jp/orchid/research/tanaka/ceramics.html を参照してください。そしてそのとき、金型の作製を含め、我々がプラ鉢を作ることの難しさと、経費がいかにかかるか等をいやというほど聞かされていたのです。例えば、金型をつくるのに数百万円かかるというのです。高価なセラミックスを使用するばかりでなく、金型の代金がコストを引き上げる原因になるというのです。これでは安価で良い品物を普及させるなど、そう簡単にできるわけがありません。そのときには、金型が数百万円・・・ウソー・・・と思っていましたが、今日、小林さんがご自身で設計・作製した金型を見て・・・納得しました。小林さんは医療用のプラスチック製品を作るのに必要な精密な金型を設計して製造する会社を経営されていたのです。小林さんに心から感謝します。写真をご覧下さい。私たちは、日頃、プラスチック鉢をつい軽く見がちですよね。でも、その金型は・・・、まるで大型車のエンジンの部品のように精密で、重量感が漂うとても大きな姿です。私は圧倒されました。
これが、鉢の基本的な金型(凹凸)です。実は、日ごろ鉢を使う人でしか解らないような、細かい配慮が施された設計になっています。 この金型をプラスチック作製機に取り付けるための全体像。左の基本的な金型は一部で、ご覧の姿が全体なのだそうです。


すごい迫力を感じるでしょう。私は、床の間にも飾れる・・・美しい造形と思いました。凸の側面を見てください。光沢ではなくザラザラしているでしょう。これも小林さん独自の工夫です。
そして、これが小林さんご自慢の、とても精密な金型を作ることができるロボットなのだそうです。このロボットの大きさと、その柄には似合わないまでに精密な金型の仕上がりにビックリです。