京都でマスデバリアを栽培する

Growing Masdevallia in Kyoto

・エリオット ミッチニク Elliot Mitchnick

・訳:奥山秀樹 Hideki 0kuyama


京都でどのようにしてマスデバリアを栽培しているかとお尋ねになるのは尤も だと思います。なにしろ京都の夏の暑さといったら、フロリダの夏が涼しく感じ られるくらいです。
ところで、私がプレウロタリスの会に加わっているのは、この蘭がすばらしい と思うためであって、上手く栽培出来るからではありません。ニューヨークにい た時分は多数の株を持っていましたが京都に移ってからは場所の制約と、世話す る時間も限られているのでコレクションは少数です。
第一、作場が二つの建物に挟まれているので栽培条件が良くないのです。とこ ろが、これがかえって或る種の蘭には、狭いけれども誂え向きの住所になってい るのです。夏の最低気温でも30度台ですが、理由は分かりませんが多数の蘭株を この環境に適応させることができました。だから、これらの株は皆、プレウロタ リスの蘭でもきわめて適応性のある種類だったのです。住居での問題は 虫がや たらと多いので目が離せないことです。幸い蘭には取り付かなかったのですが、 その他の草はやられてしまいました。クール・オーキッドであるマスデバリアは 四面ガラスの箱で栽培しました。この箱は元々コンビニエンス・ストアーで缶飲 料を冷やしたり温めたりしていたクーラー・ボックスを友人から貰い受けたもの です。ガラスの一面を下にして蘭を収容して、必要なだけ光が当たるようにしま した。小型のファンをこの「タンク」の中に取り付けて空気を循環させました。 必要なだけ循環させるのにガラスを一枚外したり、ゴレテックスを上方に置いた りして調整したのです。施肥については、市販の洋蘭肥料を規定量の1/3に薄め て、6週間に1回づつ水苔植えした株に与えていました。たいがいの株をこの施肥 法で栽培しました。そのほかの株には4週に一度のベースでした。冬には施肥を 控えていましたが、たしかひと冬を通して一回だけでした。こんなシステムで上 手くいきました。問題は、この「タンク」だけでは収容できる数が限られること です。また、古かったので壊れてしまいました。こんなふうに、空冷タンクを使 って約20株の小型蘭を育て、たいがいの株を開花させています。タンクのおかげ で栽培条件をコントロールすることが出来たことになります。ただし、2年間だ けの実績です。

訳者あとがき: ミッチニクさんはマスデバリアの愛好家で、Pleurothallid Alliance の会員です。来日して2年ほど京都でマスデバリアを栽培していましたが、 昨 年に病気療養のため世話することが出来ず全株を台無いしてしまいました。健康 も回復したので来年には栽培を再開することにしています。マスデバリアはクー ル・オーキッドなので日本の蒸し暑い夏は苦手なのですが、どのように悪条件を クリアーしているものか興味があって質問を寄せてみました。

(Remarks)ミッチニクさんは3年前に離日されておられますので、本文中の一部の記事を修正しました。 (Modified by webmaster, May/13/2000)


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