日本ワルケリアナ協会・審査規定


平成15(2003)年09月23日制定
平成16(2004)年09月30日改定

平成19(2007)年12月23日改定
平成21(2009)年11月23日改定

第1条(目的)
 日本ワルケリアナ協会の審査は、本会の会員および一般の愛好者に対し、本会の
 審査員による審査を通じ、優秀花と優秀栽培に対する認定を行う事により

 C.walkeriana
C.nobilior の進歩・発展および普及を促す事を目的とする。

第2条(審査委員会)
 日本ワルケリアナ協会会則第12条に基づき、審査委員会を設置し審査業務全般を
 担当する。審査委員会の委員長、副委員長等の任命、任期は本会の会則の定めに
 よる。


第3条(審査員の委嘱)
 審査のため次の審査員を置く。任期は3年とし更新手続きを経たものは重任を妨げ
 ない。
 1)正審査員
   審査員として高度な見識と判断力を有するもの。
   準審査員として3年以上の経験を経て、審査委員会が推薦し、理事会の承認を得
   て委嘱する。

 2)準審査員
   審査員として一定レベル以上の見識と判断力を有するもの。
   研修審査員として3年以上の経験を経て、審査委員会が推薦し、理事会の承認を
   得て委嘱する。

 3)研修審査員
   本会の会員で審査研修を希望するもの。

   審査委員会に所定の申込書を提出し、審査委員長の承認を得る。審査員の更新
   
および昇格は、毎年定時総会前の理事会にて、審査委員会が推薦した審査員の
   承認の可否
を決済し、更新および昇格を発布する。

第4条(審査員の責務)
  ・認定審査員(正審査員および準審査員)は、審査活動を中心的に推進し、常に知
   識の向上に努めなければならない。

  ・研修審査員は、定められた研修活動に積極的に参加し、常に審査経験と知識の
   向上を図らなければならない。また研修審査員は、審査活動の補佐および記録
   の作成を担当する。 
  ・審査員は、次の知識と能力が要求される。

    a) 品種と個体に関して、審査に必要な知識。
    b) 個人的な好みや偏見に捕らわれず、客観的な判断を速やかに下す能力。
    c) 自己の判断に基づいた意見を明確に表現する能力。

第5条(審査議長)
 審査会に実施において、正審査員の中の互選で選任されたものが、審査議長( 
 キャップテン
)を担当する。
 審査議長は、次の任務を担当する。
  ・審査会の運営を総括する。
  ・審査員の意見を積極的に聴取すると共に、質の高い審査を指導する。
  ・入賞花の測定を指示する。
  ・入賞花の写真撮影を指示する。
  ・審査記録表の内容を確認し署名行う。
  ・入賞花と入賞に達しなかった花の解説を行う。

第6条(審査手続き)
  ・審査会は、認定審査員(正審査員1名以上および準審査員)3名以上の出席をも
   って成立する。

  ・審査料は、会員は無料とし、非会員は1,000円を審査申込時に納付する。 
  ・審査申込用紙の記入に不備がある場合は、速やかに修正を指示し審査を行う。
  ・審査結果については、異議申し立ておよび辞退はこれを受け付けない。
  ・出品者は、第11条に定めた認定料を速やかに納付しなければならない。納付し
    ない場合は、入賞を取り消す事ができる。


第7条(審査対象)
  C.walkeriana C.nobilior を審査対象の品種とする。
  ・着花数は、1花茎2輪以上(開花直後及び終了直前を除く)を対象とする。
  ・切り花は審査対象外とする。
  ・審査対象の品種として疑わしき個体は、認定審査員の半数以上の賛同を得て、
   除外する事ができる。

  ・明らかに病気の株および著しく弱った株は、認定審査員の半数以上の賛同を得
   て、 除外する事ができる。

  ・明らかに摘花および摘蕾の株は、認定審査員の半数以上の賛同を得て、除外す
    事ができる。

  ・ペタル、セパル、リップに人為的な加工がある花は、認定審査員の半数以上の賛
   を得て、除外する事ができる。

  ・傷、シミ、奇形がある花は、認定審査員の半数以上の賛同を得て、除外する事が
   できる。
   但し審査搬入時の傷は、原則として除外対象としない。

  ・既入賞の個体を審査を行なうことは原則として認めるが、点数更新の場合のみ入
   賞認定を行なう。

  ・入賞認定後に審査対象外の品種と判明した場合は、審査委員会の決議で認定を
   取り消す事ができる。既に納付済みの認定料はこれを返還する。


第8条(審査方法)
  
・審査は、出品時の状態で実施する。
  ・色の審査は、出来る限り自然光が多い場所で行なう。
  ・花は、自然開花状態で審査を行なう。
  ・賞の適用に充分に留意し検討、協議を行なう。
  ・着花の内、最良の花および花茎を選定し審査を行う。
  ・シブリングは、両親の特性について充分に把握しなければならない。
  ・特に必要な場合を除き、花に触れてはならない。
  ・採点に6点以上の差が生じた場合は、審査議長は再協議を行なうことができる。
  ・AM88点以上は、審査議長はFCCの可能性について再審査することができる。
  ・審査は原則非公開とするが、審査議長の判断で公開審査とする事ができる。
  ・審査議長は、必要に応じ出品者に出品花について確認することができる。
  ・審査議長は、必要に応じ見識者等に審査会の傍聴および意見の徴収をすること
   
ができる。
  ・審査員は、自己の出品花の審査に参加できない。


第9条(審査記録)
 @計測
  ・附則に則り、入賞
花等の計測を行い記録を作成する。
  ・正審査員の指導のもとに準審査員および研修審査員がこれを担当する。

 A画像
  ・デジタルカメラまたはスライド写真(ポジフィルム)にて入賞花の撮影を行う。
  ・必要に応じて審査した花と共に株姿を撮影する。

  ・認定審査員の指導のもとに撮影を行う。

 B記録の公表

  ・認定審査の入賞花は、当会の会誌に画像および計測記録を掲載する。
  ・認定審査以外の入賞花は、当会の会誌に入賞記録を掲載する。画像の掲
  
載は編集委員会の判断による。


第10条(賞の種類)
 1)認定審査(メダル審査)として次の賞を定める。
 @FCC (First Class Certificate)
     本会の定める審査基準に従い、90点以上の得点を得た個体に授与する。
 AAM (Award
of Merit)
     
本会の定める審査基準に従い、80点以上90点未満の得点を得た個体に授与
     する。

 BHCC (Highly Commended Certificate)
     本会の定める審査基準に従い、75点以上80点未満の得点を得た個体に授与す
     る。

 
CCCM (Certificate of Cultural Merit)
     
特に優れた栽培に対し与える賞で、花付株に授与する。出品株は少なくとも1年
    以上出品者が、栽培したものでなければならない。認定審査員の半数以上の賛同
     を得て認定する。

 
DCBM (Certificate of Botanical Merit)
     原種としてその種(tipo)または変種(variety,formaにおいて、優れた特徴を有する
     ナトラル個体
(自生地から採取した個体に授与する。認定審査員の半数以上の賛
     同を得て認定する。

  2)リボン審査
     出品花を部門別(原則として、変種(variety、forma)に分類し、部門毎に第1席
  (First Place−青リボン)第2席(Second Place−赤リボン)、第3席(Third Place
  −白リボン)
のリボン賞を授与し、全部門の総合第1席(Grandprix−黄リボン)を授
  与する事が出来る。優秀花が出品されていない場合は、授与しないことがある。展
  示された株の中で、花の優秀性、栽培状況、目新しさなどを総合的に判断して順位
  を決定する。審査方法は、審査議長が採点方式、賛成多数方式あるいは投票方
  式から選定し、審査員に事前に伝えて実施する。

 
3)その他の賞
  ・人気投票
   例会に於いて出席会員の投票により、上位数点の花を表彰する。
   投票は、1位、2位、3位のランク別に行い、集計は、1位:3点、2位:2点、3位:1
   点の合計点とする。

  ・栽培賞
    出品花の中で、特に栽培技術に優れた成果を上げていると判断された出品者に
   授与する。認定審査の半数以上の賛同を得て認定する。

  ・努力賞
   出品花の中で、栽培技術の努力の跡が見られる出品者に授与する。認定審査員
   の半数以上の賛同を得て認定する。

  ・審査員賞
    出品花の中で、どの部門にも含まれないが特に賞に値する株に授与する。認定審
   査員の半数以上の賛同を得て認定する。


第11条(認定料)
 認定審査の入賞花は、次に定めた認定料を支払わなければならない。
 FCC (First Class Certificate)       10,000円
 
AM (Award of Merit)                           5,000円
 HCC (Highly
Commended Certificate)   3,000円
 CCM (Certificate of Cultural Merit) 
    2,000円
 CBM (Certificate of Botanical Merit)       2,000円

第12条(審査基準)
1)総論
 C.walkeriana C.nobilior の特性に配慮した審査を行なう。ナトラル(自生地から採取
 した個体)かシブリング(人工交配個体)かを確認し、不明のときはシブリングとして取
 り扱う。

 特にナトラルはその長所を積極的に評価する。
 審査対象となる種および変種において、原種の通常の特徴を考慮した上で、花形、
 花色、花径などの点において通常の原種と比較し、明らかに優れた形質を備えたも
 のに対し、その鑑賞的価値に対し評価を行う。また優れた栽培技術に対し評価を行
 う。
C.nobilior tipo C.nobilior var.amaliae の交配については、それぞれの特徴に
 留意して審査を行なう。

2)配点及び評価項目
 全ての得点の合計を100点満点とし、集計時の小数点以下は四捨五入とする。
 配点及び評価内容は次の通りとする。

a)花形(40点) 
 各部分それぞれが調和の取れたバランスで配置され、花全体に丸みを帯び、フラット
 に展開する美しさが求められる。ペタルとリップの位置関係が概ね逆正三角形に、ド
 ーサルセパルとラテラルセパルの位置関係が概ね正三角形になるものが望ましい。
 またそれぞれの部分との間に空隙がないものが望ましい。ペタルとセパルは左右対
 称形が望ましい。

  ペタルは、基部から幅広く丸みを帯び、抱え過ぎず反らないものが望ましい。
 セパルは、幅広く抱え過ぎず反らないものが望ましい。
 リップは、幅広くフラットに展開するものが望ましい。
 C.nobilior については、リップが上方に反る原種としての特徴も考慮する。
b)花色(30点)
 原種の基本形(tipo)と変種(varietyforma)の特徴を明確に強く打ち出している色彩
 が望ましい。

 色むらやカラーブレーキングのないことが求められる。色彩は左右対称形が望まし
 い。

 色彩はその濃淡、コントラスト、特異性、色の入り方、テクスチャー等に配慮し評価を
 行なう。

c)花径(20点)
 原種の特徴としての平均的数値に配慮し評価を行う。
 進んだシブリングにおいては、原則として大型になることが望まれる。
 ナトラルについては、NS(自然開花状態)の最大幅で概ね7センチ以上が望ましい。
d)花序その他(10点)
 輪数は多数ほど高い評価とするが、 C.nobilior var.amaliae については、多輪系(
 常3〜5輪)に配慮して評価を行う。

 花の配置は、同じ高さで正立して揃うのが望ましいが、C.nobilior var.amaliae につい
 ては、多輪系に配慮して評価を行う。

 花の間隔は、重ならないのが望ましい。
 花茎は、花を保持するに十分な太さが求められる。
 花と株のバランスについて配慮する。 

第13条(会則の疑義)
 本会審査規定の各条項の適用に疑義が生じた場合は、審査委員会でこれを決定す
 
る。

                                                                             (以上)

付則
第1条(審査対象)

  ・C.walkeriana alba 'Pendentive' とその系統および子孫は、審査対象外とする。
  ・C.walkerianaC.nobilior の交配 (C.mesqutae 及びC.Brazilian Jewel)とその系
   統および子孫は、審査対象外とする。

  ・C.walkeriana alba ‘Orchidglade’とその系統および子孫は、‘Orchidglade’系(OG
   系)と表記しC.walkerianaの一つのグループに区分し審査対象とする。


第2条(発足時の審査員の認定)
  (削除)

第3条(審査委員会)
 正審査員の半数以上の出席で成立し、議決は出席者の過半数で決定する。 
 審査委員長は、昇格審査以外の事項について意見を収集する委員を任命できる。
 昇格審査は、直近の3年を対象とする。
 昇格審査は、次の事項を対象とする。
  ・対象期間の審査会および研修会の出席状況。
  ・対象期間の審査会および研修会での記録。
  ・会の審査員としての知識と能力および品格。

  ・会の運営への参加状況。

第4条(更新手続き)
 正審査員の更新基準
  ・任期期間 (3年) 内の審査会で、3回以上の審査会に参加している事。
  ・任期期間(3年)内の研修会で、1回以上の講師を担当している事。
   但しやむを得ない事情で参加できない場合は、その旨審査委員会に申し出る事。
 準審査員
  ・任期期間(3年)内の審査会および研修会の内、6回以上の会に参加している事。
 研修審査員
  ・任期期間(3年)内の審査会および研修会の内、8回以上の審査に参加している
   事。


第5条(審査員認定の緩和規定)
 主要3審査団体(AJOS,JOGA,JOS)の審査員の資格を持つ会員は、本文第3条の 
 規定に拘らず審査員に認定する事ができる。


第6条(審査研修会)
 正審査員が主催し、次のテーマほか審査委員会が必要と判断したテーマを年2回以 上行なう。
 @審査規定の解説(必須テーマ)
 A計測方法の解説と実施(必須テーマ)
 B品種とバラエティ、フォルマについて(必須テーマ)
 Cスライドによる個体名試験
 D模擬審査会ほか

第7条(計測方法)
 計測は、原則として2名以上で行い、記録者は氏名を記載すること。
 計測は、メジャーを花に触れずに自然開花状態で行なうこと。
 審査議長は、記録内容を確認し疑義がある場合は、再測定を指示する。

第8条(用語の定義)
 NS:ナチュラルスプレッド(Natural Spread自然開花状態での花の展開状態。
審査員リスト(2009.11.23現在)
 (正審査員)
   原幸康 武井直義 佐藤悦朗 澤井公和 古巣 貢  広田哲也
   岡田弘 江尻宗一 和中雅人 藤 広治 広岡政子 小崎敏明 
 (準審査員)
   西村保明 岩上泰三 広岡孝雄 鎌田文二 長谷川安宣 
      上野幹雄  村上  旭 田村和巳 山本有三 豊田勝弘