(B)完熟(開裂)種子の播種

(1)開裂した子房を薬包紙、あるいはアルミホイルのうえで開き、種子を取り出す。
(2)種子を清浄な試験管に移す。
(3)消毒用塩素溶液を約5mlいれる。
 消毒用塩素溶液は次亜塩素酸ナトリウム、あるいはピューラックス(使用期限があるので注意)に蒸留水を加え、実効塩素濃度が0.2〜0.4%になるように希釈したものを使用する。塩素溶液は塩素が揮発するため一度使用した溶液(原液を含む)は破棄する。さらし粉水溶液の上澄液を希釈して用いることができるが、実効塩素濃度が未知のため、毎回予備実験を行う必要があり、初心者には勧められない。

(4)消毒液を入れた試験管にアルミホイルのフタをして、親指でそのフタを押しつけたまま上下に強く約3分間振とうする。
(5)その後約3分間静置すると発芽力のある成熟種子は試験管の下に沈む。
(6)ゴム球を付けた滅菌ピペットあるいはスポイトで上澄みを手際よく取り去る。パフィオペディルムには不稔種子が多く、これらは滅菌液の上部に残っている。
(7)5〜10mlの滅菌水を滅菌ピペットで注入する。
塩素溶液を入れてから滅菌水を入れるまでの時間が7〜10分になるようにする。この時間は非常に重要である。短すぎるとカビや細菌類の混入をもたらし、長すぎると胚が損傷して発芽しなくなる。塩素を十分に洗い流すため、滅菌水での洗浄は1〜2度繰り返すとよい。

(8)最終の洗浄では滅菌水を約0.5〜1.0ml残しておく。
(9)培地フラスコを(A)と同様にして準備し、ピペットで種子を水とともに吸い込む。
(10)フラスコの寒天培地の上に播く。
(11)最終の洗浄が終わったとき滅菌水をすべて捨て去り、種子を白金耳でかき取って播いてもよい。
何れにせよ、種子が培地の表面全体に均一に散らばるようにする。

4)フラスコの培養につづく