C. lueddemanniana 特集

C. lueddemanniana var.semi-alba 'Stanleyi'  
C. speciosissima var.semi-alba 'Stanley'  
C. lueddemanniana var.semi-alba aquinada 'Cerro Verde'

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原種の世界は不可思議な世界です。

同じと思われる個体に別の名前が付いたり、
明らかに別の個体に同じ名前が付いていたりします。

今回は、ルデマニアナの世界です。
C. lueddemanniana var.semi-alba 'Stanleyi'  
C. speciosissima var.semi-alba 'Stanley' MC 
C. lueddemanniana var.semi-alba aquinada 'Cerro Verde'

C. lueddemanniana  C. speciosissima 
Synonym
(シノニム、異名同種)ですから、本来は同じ種を表すので
スタンレイはオリジナルもメリクロンも同じ花の筈ですが、
MCの方は、スタンレイと違った花が咲きます。
その違う花は、セロベルデに極似しています。
参考文献
 左側:NEW ORCHIDS No.96
 右側:VENEZUELAN CATTLETAS
     − Carlo Aulisi A. Ernesto Foldats−
 スタンレイが、RHSでFCCに入賞した時の記録で
C. lueddemanniana 'Stanleyi' と、個体名に ' i ' が
付いた綴りになっています。
 ( September 24. 1901 )
        −91頁に紹介されています−


リップの周辺は白色で、ハッキリとした筋状の脈が
 入っているのが分かります。


原種では、株の状態、気候等の条件により
花に変化が出ることが有りますが、
基本的な要素は変わりません。

セロベルデのリップは、周辺まで色素が載っています。
筋状の脈も可成り薄くなっています。
また ペタル、セパルの先端に色素が載ります。
NEW ORCHIDS No.96
Collection of Cattleya Species 19

岡田蘭園の岡田弘氏の特集記事の中で
セロベルデとスタンレイの違いを解説しています。








新企画出版局発行
定価1750円
左頁
 上段の画像は、オリジナルのスタンレイとして

 「ベネズエランカトレヤ」誌を引用して解説しています。
 下段は、セロベルデのオリジナル株の解説です。

右頁
 上段の2個体は、セロベルデの紹介で
解説は有りません。
 下段の囲み記事では、
 「A〜Cはアメリカでメリクロンされ、スタンレイとして
 フラスコ苗で輸入されたが、正式にはセロベルデである。」
 として解説しています。 

補足
 アメリカから入った苗の名前は、
 C. speciosissima var.semi-alba 'Stanley' MC です。
株の大きさの比較

左側:C. walkeriana 'Jungle Queen' MC

    バック吹きの株、バルブ+葉で 22p

中央:C.lueddemanniana var.semi-alba 'Stanleyi' OG
    トップバルブの長さ 20p

右側:C.lueddemanniana の一般的なサイズの株
    トップバルブの長さ 30p
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解 説


 カトレヤ ルデマニアナ スタンレイと呼ばれている個体のメリクロンが多く出回っていますが、何故かオリジナルと
違った花が咲いています。
そのメリクロンの花は、セロベルデと呼ばれる個体に良く似ています。
 メリクロンのスタンレイが各地で咲いていますが、オリジナルの花を見る機会が少なく、又文献も一般に出回って
いない為、オリジナルのスタンレイとセロベルデが、よく似た花と言った誤解も有るようです。


 そこで問題点を整理するために、文献を引用して解説することにしました。

@オリジナルのスタンレイとは

 C.lueddemanniana var.semi-alba 'Stanleyi' は、ベネズエランカトレヤ誌にRHSの入賞記録と共に
写真が掲載されています。 この掲載されている写真がオリジナルと判断して良いと思います。

Aセロベルデとは

 同じくベネズエランカトレヤ誌に掲載されている写真がオリジナルと思われます。

Bメリクロンのスタンレイとは

 アメリカの業者が、C.speciosissima var.semi-alba 'Stanley' として世に出したもので、
日本にはフラスコ苗で輸入されたようです。
C.speciosissima は C.lueddemanniana のシノニム(異名同種)のため、市販する業者は
ラベルを一般的な名称の C. lueddemanniana に変えて販売している場合もあるようです。
ですからスタンレイのメリクロンは、C.speciosissima も C.lueddemanniana も同じ出所だと思われます。


C. speciosissima var.semi-alba 'Stanley' MC または C. lueddemanniana var.semi-alba 'Stanley'MC の画像とは

ニューオーキッドの岡田氏の写真や他のウェブサイトの画像でも分かるように、メリクロンのスタンレイは
オリジナルのスタンレイとは別の個体で、セロベルデによく似た花です。


○株の大きさによる比較
 オリジナルのスタンレイは、C.lueddemanniana の中でも小型ですが、メリクロンのスタンレイは普通サイズです。
スタンレイの「オリジナル」株で、セロベルデと似た花の個体で、株の大きさが普通サイズのものは、
「メリクロン」株の可能性が極めて高いと思われます。

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個人的な見解

@ C. lueddemanniana var.semi-alba 'Stanleyi' と C. speciosissima var.semi-alba 'Stanley' MC
別個体と思われる。
A C. speciosissima var.semi-alba 'Stanley' MC と C. lueddemanniana var.semi-alba aquinada 'Cerro Verde'
極似ている個体である。
B MC のラベルを敢えて C. speciosissima としたのは、本物と区別する為の可能性も否定出来ない。
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澤井氏(JOS会長)の見解


@ C. lueddemanniana var.semi-alba 'Stanleyi' と C. speciosissima var.semi-alba 'Stanley' MC
別個体と思われる。
A C. speciosissima var.semi-alba 'Stanley' MC と C. lueddemanniana var.semi-alba aquinada 'Cerro Verde'
極似ている個体であるので、同一個体と思われる。
Bラベルの
C. speciosissima var.semi-alba 'Stanley' の表記は、安易にC. lueddemanniana var.semi-alba 'Stanleyi'に
変えるべきでは無い。

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謎は深まるばかりです。

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2000.7.16 解説追記:7.18 修正:8.22
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