私の、
とっても大切なパフィオにつける名前、
Maki
Lovely Maki
Maki’s Happiness
Maki’s Fantasy
Maki’s Treasure
マキちゃんシリーズ・・・その他、いっぱい。
私がニューヨークに留学しているとき、
娘・麻貴が誕生した。
インターネットなどないアナログ全盛の時代、
6ケ月後のケネディー国際空港で、
待ち焦がれていた「笑みの天使」と感動の初対面となった。
マキの誕生をきっかけに、
パフィオにつける名は、
新婚時代の愛妻の名を一瞬にして凌駕し、
瞬く間に私の温室を制覇した。
でも、誤解しないでください。
家内より娘を愛しているという訳ではけっしてありません。
あの感動の対面から20年、
その麻貴は今、
成人した大学生。
時の流れ・・・、
わが子の成長を眺めるほどわかり易いものはない。
でも、父親としての私の気持ちは・・・そう、
ケネディー国際空港で初めて会ったときの、
パフィオに初めて娘の名をつけたときの、
あのときめきと、今も何も変わらない。
今でも、ラベルに書き続ける娘の名前・・・
20年前と同じ・・・感動と、期待に満ちた愛をこめて。
そして、20年後の現実。
ときおり顔を合わす娘の変わり果てた姿に、
思わず・・・「あんた、誰?」。
いったいあの、無邪気で愛らしい天使は何処へ行ってしまったの?
眉は細く釣り針のよう、
目のまわりはまるで二日酔いのように薄青く、
そこに並んだハエの止まり棒、
隣のお姉さんなら・・・引き込まれてしまいそうな芳しい香りも、
娘がつけると、やけに臭い。
中途半端な染髪に、
流行の服とエラの張ったハイヒール。
「頼むから・・・普通にしてくれ、普通に!」
懇願する私に、
「これが今の普通!」
家内を強い味方に、軽く流して聞く耳を持たず。
バイトとクラブに明け暮れる娘に、
「お前、大学はなァ・・・」
もの心がついてからこの方、
ヒトとしての生きかたや価値観を、
繰り返し繰り返し、
しっかりと教育してきたつもりだった。
叩き込んできたつもりだった。
今やどうにもならない・・・価値観の溝。
ひとしきりグチをブチまいたとき、
テレビドラマに登場する悪役の父親と重なる自分の姿に気がついた。
空しくなって・・・失意のなか、
ソファーでふて寝・・・・、
まるでお決まり事のように。
年をとったものだ。
ウトウトしていると、
足を忍ばせ、
優しくそっと毛布をかけてくれる・・・。
そういえば、
いつも、私好みの紅茶を入れてくれるマキ。
二十歳になっても、ソファーに横たわる私の上にのしかかり、
悪態をつきながら語りかけてくる・・・マキ。
カロリー制限のダイエット中、
「これ、東京で人気NO.1のケーキ」と、
僅かなかけらをフォークにのせてくれるマキ。
「おはよう」・・・ケネディー空港で見たときと同じ、スッピンの笑顔で。
うたた寝のなか、
夢見心地に・・・思い出す。
そうか・・・マキは・・・優しい、いい子に育ったんだな。
やはりお前は、自慢の娘。
・・・・ありがとう
「 Lovely Maki 」
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