先日、市内の小学生を集めて野外自然観察を行なった。
ここは栃木の片田舎、
雑木林ではカブトムシやノコギリクワガタが群れて蜜を争い、
オオムラサキやカナブンとひねもす宴会を繰り広げている。
この感動的な光景を前にして、
いまどきの子供たちが意外に冷静なのに驚く。
興奮してはしゃいでいるのは大人だけ?
私が子どもの頃、こんなもんじゃあ・・・なかった。
だって、すべてが宝ものだったもの。
宝ものを追いかけて、
中学、高校、大学と・・・全国を飛び回った。
この頃の宝もの・・・宝石のように緑金色に輝くチョウ、ゼフィルス。
私の子どもたちが小学生のころ、
春が来るたびに散歩に連れ出した、
空の、空気の、土の・・・春のにおいに誘われて。
うららかな日差しのなか、
新緑が眩いばかりに輝き、
ツクシ、タンポポ、菜の花が、
マリオネットのように光の糸に操られ
思いっきり背伸びして、
白や黄色のチョウが舞う。
花を見て語らい、
草笛をつくったり、竹細工をしたり・・・・
二人の子どもはとても楽しそう。
・・・でも、どこかが違う、何かが違う。
私が同じ頃、食事をわすれるくらいに
夢中になって野山を走り回っていた。
神戸・摩耶山の雑木林で、
春になると芳しいほのかな香りを漂わせる妖精と遊んだ。
秘密の宝もの・・・当時は名前さえ知らなかった花、シュンラン。
ただものではないその魅力に、
当時の小学生は、「理屈なしで本能的」に、瞬時にしてその虜となった。
いま、私の周りにはランが氾濫している・・・当たり前のように。
こんな幸せなこと、そうあることではありませんよね。
でも、うちの子どもたちには・・・?
夏にはカブトムシやクワガタムシが集まる木を見つけ出し、
口が裂けても教えない・・・絶対秘密の宝もの。
そういえば、うちの長男は小学生の頃、
カブトムシを怖がっていた。
自然や生きものへの関心、
教育ではないな・・・つくづくと思う。
どうやら、私の私らしいこの自慢の遺伝子は、
子どもたちからすっかりと抜け落ちているようだ。
カエルの子はカエル
・・・空しい言葉です、わたしには。
でも、この子たちは・・・
母親譲りの、思いやりのある優しい温かい子どもに育っている。
かえるの子はかえる
真夏の蒸れた温室のなか、
ホースの冷たい水を撒きながら・・・
静かに微笑むマドンナたちに問いかけた。
僕色のカエルは・・・?
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