パフィオペディルムの新品種(その10)

No.14

  Paph. parnatanum(パーナタナム)

またまた新しい品種が発見報告されました。今の度、新発見されたパフィオはPaph. parnatanum(パーナタナム)で、フィリピンからの原種です。最近の新種はベトナムから発見されるものがほとんどでしたが、フィリピンからの新種発見は珍しいですね。この品種については、ちょうど同時期にドイツとフランスの2つのグループによって記載の先陣争いが起こっていたのです。私の方には、ドイツのオラフ・グルース氏(Mr. Olaf Gruss)とイェルゲン・レス氏 (Mr. Juergen Roeth) により、この新種をウシタナム ( Paph. usitanum )とすることをDie Orchidee(ドイツの雑誌)で報告すると、1999年1月13日に連絡を受けていたのです。私は直ぐにこの公開用のページを作成して、その記事が印刷されると同時にこのサイトで発表できる時期をずっと待っていたのです。ところが、今日(3月19日)に届いたメールで、新種の記載はフランスのグループによるものの方が早く、その記事がドイツのグループより先に記載されたとの連絡がありました。従って、正しい種名はフランスのグループによって命名されたパーナタナム (Paph. parnatanum)となります。まだ、この種についての詳細な特徴は届いておりませんので、届き次第報告いたします。花はスーパービーンズの地色をグリーンにしたような印象を得ますね。

Paph. parnatanum(パーナタナム)

Paph. parnatanum の
スタミノード



1999年、3月31日、この新種についてのコメントが、発表者のウィリアム カベストロ(Mr. William Cavestro)さんから届きましたので紹介します。

 パーナタナム(Paph. parnatanum)は、新種として今年の2月にフランスの雑誌(IAPT)にフランス語のレビュー(Orchidees, Culture et protection, N。38, 1999)として報告されました。この報告は、同じ種に対してオラフ グルースらにより命名報告されたウシタナム(P. usitanum) よりわずかに早いものでした。この種は花の形態や色彩、また、葉などはアーガス、ワーディー、スクハクリに似ています。葉の上部表面は灰白色の斑が入った緑色の斑入り葉で、幅は1.8-3.5cm、長さは8-20cm ほどあります。葉の裏面は均一な緑色 をしています。花茎は18-20cm で、 NS7.5-8cm くらいの花を一輪のみ着けます。ドーサルセパルには白色地に緑色のスジがあがり、ぺタルは明るい緑色地に褐色が斑のように入ります。 ポーチは淡い褐色地にやや濃色の網状の模様が入ります。スタミノードは明るい緑色の卵形で、その長さは0.7-0.9cm、幅は 0.9-1cm。ドーサルセパルの形は少し先の尖ったような卵形をなし、その長さは3-3.2cm、 幅は 2.9-3cm くらい。ぺタルは長さ4.5-4.6cm 、幅 3-1.4cm くらい。ヘラ状で先に向かって網状の模様が入り、基部には繊毛が認められる。ポーチの長さは4.1-4.2cm、幅は2.2-2.4cm くらい。私はこの新種のパフィオの花の形と色彩がスクハクリやワーディーと 非常に良く似ていていると思いますが、花の大きさやスタミノードの基部に見られる繊毛、また、ポーチの色彩などからこれらの種とは異なり、ロワードーサルが非常に大きく発達している点でも、その違いは明らかです。

パフィオの新品種(パーナタナムのつづき)へつづく

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