報告! 第四回パフィオペディルム・サロン

  秋も深まり、東京など都市部での紅葉が話題になるこのごろです。幸い天候にも恵まれ、暖かい晴天の一日でした。このように天気のいい日に室内にこもるのは残念なことではありますが、いつもながら会場はパフィオキチガイの熱気に包まれ、夢中で過ごした一日でした。アッという間に時間が経過し、解散の時間には外は既に暗くなり始め、参加された皆さんは足早に帰宅されたようです。また、次回もパフィオキチガイにお集まりいただけますよう、よろしくお願い申しあげます。
期日: 11月23日() 午前10時半〜午後4時
場所:栃木県宇都宮市ろまんちっく村 (東北自動車道宇都宮インターから5分)(地図)
   第二会議室。
参加人数:28名 (参加業者:新里蘭園、望月ラン園)

内容

第一部:パフィオペディルムの原種とその交配(1)  
(1)スクハクリ(Paph. suykhakulii)の変種を含む分類について、その分布と共に詳細な内容が紹介された。スクハクリの花の輸入における歴史的な変化と、最近の交配による優良花の特徴など。オウレウムやアルバムの今後の展開。
(2)スクハクリの交配の結果が交配相手を亜属ごとに分けて紹介され、スクハクリの交配に及ぼす特徴が紹介された。このような考察は、自分で交配を行うときや、交配苗を入手するときに有効な情報となろう。スクハクリは歴史的に多くの交配に利用されてきたが、最近の交配では意外に利用されていない。特に、パービセパルムやブラキペタラムとの交配では、最近の特にペタル幅の広い優良花を用いた交配が期待される。
第二部:スクハクリの栽培について(参加者全員による討論)
 スクハクリの栽培について、参加者による経験や情報が紹介され、極めて活発な意見が交換された。
1)コンポスト:ミックス、クリプトモス、水苔の単用など、いずれのコンポストでも栽培ができるが、クリプトモスによる交配が効果的であるとの意見が多かった。クリプトモスについての意見が多く出され、できるだけ新鮮なものを用いることと、乾燥させないようにわずかに水苔を混ぜるとよいなどが提案された。
2)太陽光:特に強い光は必要ないと思われるが、朝の新鮮な太陽光線を好むようだ。棚下でもよいが、朝日が射し込むところが好ましいように思える。温室無し(無保温)の室内栽培している人は、朝昼晩と太陽の動きに合わせて鉢を移動させて、見事な栽培と開花を見せている例もあるという。
3)遮光:基本的には普通の遮光でよい。50%の遮光材を夏には二枚、冬には一枚。弱めの遮光材にすると花付きはよいが、いかにも夏の暑さに消耗しているようになってしまう。棚下でもよいことから、さほど気にするほどではないようだ。
4)肥料:かなり好きで十分に与えるのが良いであろう。特に、良好なときと、あまり良くないときの花の状態が驚くほど異なる。この違いは肥料による栽培に大きく依存するとも考えられ、特に成長が止まっているとき以外は肥料を与え続けるのがよい。また、花があまり良くないと思っていても、栽培により驚くほど素晴らしい花に変わることがあるので、その個体の評価には十分注意をする必要がある。
5)水やり:春から夏の成長期は十分にやる必要があるが、一年を通じて決して乾かさないようにすることがのぞましい。
6)冬の温度:現地での最低気温は10度前後であるが、実際の栽培で必ずしも室温を低くする必要はない。標準的な温度、最低温度15度くらいが好ましい。むしろ20度位の高温でで栽培しても、生育はよい。また、先に述べたように、無加温での栽培も可能とされるが、必要以上に低温あるいは高温で栽培するには気温とは異なる栽培の技術が求められれるので好ましくないだろう。
7)夏の温度:できるだけ涼しい方が好ましい。25度以下にできたら理想的。都会での栽培を含めて、我々の栽培環境ではほとんど不可能と言えよう。しかし風通しを良くしたり、湿気を含んだ風を自然、あるいは人工的に活用できるように工夫する。
 とても、意味深い、有意義なディスカッションでした。また、次回お会いしましょう!

サロンで展示されたパフィオペディルム

参加申し込み/Dr.たなかへのメール

サロンの目次へ戻る

HPの目次へ戻る