報告! 第一回パフィオペディルム・サロン

 今回は記念すべき第一回目ではありましたが、小さな集まりでも濃厚で和気藹々と開催したいと考え、特に多くの参加者を集めることを目的とした呼びかけを全く行いませんでした。すなわち、開催の告知はインターネットのホームページだけで行い、原則的にこれをご覧になられなかった方には連絡を申し上げておりません。申し込みも自由意志によりものだけと致しました。原則として、勧誘は一切しなかったわけです。このような方法が、一部の方々にご迷惑をおかけしたかも知れません。心からお詫びを申し上げます。このサロンの趣旨をご理解いただくと共に、ご了承下さいますよう、宜しくお願い申し上げます。
期日: 5月21日(日) 午前10時半〜午後4時
場所:栃木県宇都宮市ろまんちっく村 (東北自動車道宇都宮インターから5分)(地図)
   第二会議室。
参加人数:25名 (参加業者:小澤ラン園、望月ラン園、ミルキーウェィ)

内容

第一部:パフィオペディルムの原種とその交配(1)  
(1)ミクランサム(Paph. micranthum)の変種を含む分類について、その分布と共に詳細な内容が紹介された。変種についてはHP(Parvisepalumの仲間とその栽培)を参照。
(2)ミクランサムの交配の結果が交配相手を亜属ごとに分けて紹介され、ミクランサムの交配に及ぼす特徴が紹介された。このような考察は、自分で交配を行うときや、交配苗を入手するときに有効な情報となろう。
第二部:ミクランサムの栽培について(参加者全員による討論)
 ミクランサムの栽培について、参加者による経験や情報が紹介され、極めて活発な意見が交換された。
1)コンポスト:ミックス、クリプトモス、バークの単用など、いずれのコンポストでも順調な栽培ができる。
2)太陽光:分布はカルスト地形の石灰岩の岩盤上で、山の北あるいは北東で生育しているが、これらの分布域は北回帰線の近くにあり、 ほとんど一年中日の出日の入りは太陽光を受ける。しかし、南斜面では見られないことから、午前中(特に朝日)の陽光を受けるだけで十分であろう。結果として、太陽光を長時間要求することは必ずしも必要ではないと考えられる。
3)遮光:かなり深いブッシュに覆われていることから、2)にも関連して、一時期の光を得るだけで十分なくらい強くしても良い。 但し、冬の栽培時期には、南からの太陽光を半透明波板程度の遮光で十分に当てても問題はない(経験として)。
4)肥料:かなり好きで十分に与えるのが良いであろうが、栽培が不十分な状態で与えると失敗の原因となろう。
5)水やり:春から夏の成長期は十分にやると良いが、冬はほとんどやらずに乾燥させることがのぞましい。完全に乾いてからしめらす程度にやる、あるいは、全くやらずに霧吹きで乾燥を防ぐくらいに与える等の意見もあった。夏でも、乾燥と水やりを周期的に実行して成功しているという例も紹介された。結果的に、冬は乾燥を主にすることが良いようだ。
6)冬の温度:成功例は、ほとんどが低温栽培であった(私には勇気がない・・・)。屋外における栽培で、冠雪・霜いずれも問題なく、零下も勿論大丈夫とのこと。屋外では、吹きさらし(但し、北風が直接当たるような場所は避ける)や、半透明の波板で雨・雪・霜などを避けるなどの違いはあったが、いずれも順調。屋内でも、無加温で順調な生育と開花が認められた。
7)夏の温度:できるだけ涼しい方が好ましい。25度以下にできたら理想的。都会での栽培を含めて、我々の栽培環境ではほとんど不可能と言えよう。しかし風通しを良くしたり、湿気を含んだ風を自然、あるいは人工的に活用できるように工夫する。
8)まとめ:ミクランサムは一年を通じて屋外で栽培するのがよい(北の地方はどうかわかりません。情報が有ればお知らせ下さい)。冬は冠雪を含め低温となるが、ほとんど水やりを控えて順調に生育する。さらに、今までシースが出ては枯れていた蕾が順調に伸び、開花が期待できる。この成功例がたくさん紹介された。よーし、今年の冬は屋外栽培と・・・いくか(でも、チョッと不安・・・)。改めてみんなで情報と経験を持ちあおう・・と言うことになりました。
 とても、意味深い、有意義なディスカッションでした。こんなに有意義な時間が過ごせたのは久しぶり・・・と言うような印象を受けました。また、次回お会いしましょう!

サロンで展示された花の一部を紹介します。

Paph. insigne var. sp. 
 かつてラオスで採集されたという原種です。数あるインシグネの変種から、このようなユニークな変種があっても不思議ではないと思われますが、ペタル、ポーチ、ベントラルセパルなどがビロッサムに酷似していることから自然交雑種の疑いも拭いきれない。情報が古くて実際に採集された場所等は全く掴めないそうです。

Paph. bellatulum album

Paph. leucochillum

Paph. sukhakulii
( 'Rainforest' AM/AOS x self )

Paph. callosum v. vietnamense
album x self

Paph. Kevin Porter

Paph. Vanda M. Pearman

Paph. ( Norito Hasegawa x delenatii )

Paph. ( Norito Hasegawa x delenatii )

Paph. Magic Lantern

Paph. Wossner Bellarmi

Paph. Pixie Dust

Paph. Hunteri ( bellatulum x tonsum )

Paph. Utgard

参加申し込み/Dr.たなかへのメール

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