春蘭 シュンラン Cymbidium Goeringii
古来、粋人の趣味として栄枯衰退を繰り返しながら今日まで愛培されて来ました。
春蘭はラン科植物のシンビジューム属です。
春の蘭と書きシュンランと呼ばれ文字通り春に花が咲きます。
北海道から九州まで日本全国の
比較的明るくやや乾燥気味の林等に自生しています。
松混じりの林を目指すと、比較的多く見つける事が出来ます。
一般的には「ホクロ」、「ジジババ」等と呼ばれ、
私達の身近に見られるありふれた蘭です。
花色は緑、紅、橙、白色等、花に柄が入るもの、奇形花等が有ります。
葉は虎斑、覆輪、縞、蛇皮等変化に富み、
山野に一般に自生している物の中から選別された
花色、葉芸等変化に富んだ種類を日本春蘭と呼び、
高給園芸分野として一般のジジババとは区別されています。
花は直径6センチ位で、花弁は厚く唇弁は普通種は白地に赤い斑点が有ります。
後方に巻き込んだ舌は典型的なランの花です。
花時期は3月下旬から5月上旬です。
花茎は通常10センチを超えます。
花は葉の上に伸び出して咲くと見栄えがします。
葉は幅1〜2cm長さは20cm前後
幼苗は二枚で5cm前後です。
毎年生ずるバルブの葉の枚数が増え6〜7枚になります。
葉の枚数は5枚から6枚になると花が咲きます。
健全に成育した葉は通常5〜6年繁茂します。
その後、葉は枯れバルブと根が残ります。
やがて根も腐崩し、バルブだけが連なり残って行きます。
葉の縁にはギザギザが有り、中国ランとの判別材料になります。
葉の元にはバルブと称する根茎が有ります。
地中浅く一部露出しながら連なっています。
通常1年に1個の割で増えていきます。
幼苗のバルブは小さく1年毎に成長するにつれ直径2cmを超える大きさになります。
このバルブ元より根が伸びます。
根は直径5ミリ前後の太い根を地表下を這うように伸びます。
灰色の根は30cm以上になります。
其の為、鉢植えには細長い専用のラン鉢に植込みます。
「趣味と実益を兼ね備えた春蘭作りが長寿の秘訣」とか・・先人の話を耳にします。
春蘭は「辛抱草」とも呼ばれて来ました。
失敗を繰返し乍ら辛抱強く育てる事からそう呼ばれるのでしょう。
この、辛抱強い明日への希望こそが、
多くの先人が長寿を全うした、生き甲斐の秘訣かもしれません。
自分が育てた春蘭を多くの人々に評価して頂くのも春蘭作りの楽しみです。
同じ種の春蘭を競って、花色、葉柄を自慢したり、交換したり売買したり・・・
自分の栽培技術を高めて行くにも、
近くの蘭会に入会し多くの同好趣味者と交歓する事をお勧めします。
此処に記載した栽培方法等は関東地方を基準に
私の栽培経験を元に初心者を対象に解説して有ります。
皆様の春蘭栽培の一助に参考にして頂ければ幸甚です。
人生の最良の友として末永く春蘭と付合って行かれる事を祈念して居ります。
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