• 春蘭の自生地

  • 春蘭の自生地は松の木等常緑樹が混在した落葉樹の林等、
    比較的明るい、日当たりの良い南東に面した風の吹通す斜面等に自生しています。
    春蘭はこの様な落葉に埋もれた水捌けの良い場所に太い根を横に長く伸ばしています。
    春蘭を鉢で栽培するには以上の環境を人為的に再現させる必要が有ります。

    「鉢」:
    太く長い根を収納するには、鉢の運搬と収納スペースを考慮して、
    縦長の鉢を使用します。
    水分を多く含んだ太く長い根は蒸れに、非常に弱いので鉢の側面は通気性の良い物を選びます。
    鉢の側面を薄く仕上げた楽焼き鉢や側面に穴を開けたプラスチック鉢等を使用します。
    鉢の中の通気を良くする為、鉢の底穴は大きな方が良いでしょう。

    「用土」:
    水分を含んだ太く長い根を自生地環境に保には
    水捌けを良くし、且つ保水性が必要です。
    この条件を満たすには庭土等細かな土での栽培は非常に困難です。
    一般には、硬質鹿沼土、軽石等の混合土を使用します。
    私は、蘭菌根菌を意識したブライオゾーア貝化石層礫を混合使用します。
    春蘭培養土混合用 参考
    鉢底には大粒の用土を使用します。
    大粒は表面が乾燥しても内は湿り気を保っています。
    小粒は表面が乾燥すると芯まで乾燥してしまいます。

    「置場」:
    真夏の太陽の直射を遮り、真冬の寒風を和らげる環境を作ります。
    自然界では、根は地表を這っています。
    夏は葉陰、冬は落葉等で覆われ地熱と合間って適温を保っていますが、
    鉢植えでは、真夏の日中の高温、真冬の夜間の低温に晒されます。
    高温時、低温時に長時間、鉢内の水分を多くすると
    真夏は蒸れ、真冬は凍結し、事後の管理が不十分だと根は痛み、蘭は枯れてしまします。
    故に、水の管理は人為的に行う必要があり、自然の雨水から隔離しなくてはなりません。
    一般には、上部は透明塩ビ等で屋根を設け、柔らかい日差しが差込む環境を作ります。
    春と秋は柔らかな太陽光が充分差込み
    夏場は寒冷紗やヨシズ等で光量を和らげる処置が必要です。
    更に、地熱と鉢の温度が関連出来る環境が理想的です。
    地表から70cm位掘り下る地下栽培は
    冬場は地表に下ろし上部を覆います。
    地熱で凍結の恐れは避けられます。
    春から秋は上部にスノコ状の板張りとし、その上に鉢を置きます。
    真夏の高温時は下から冷えた地熱が、鉢の温度上昇に効果的です。
    周囲と屋根は透明塩ビを張り、開閉により室温調整が可能とし、
    南面、西面には樹木が茂り、北面は北風を遮る塀等があり、
    東面は充分朝日が差込み、南東面に池等の水場があれば申し分有りません。

    「灌水」:
    生物は水分の補給が必要ですが
    春蘭の根は太く通常の植物より保水量が多く出来ています。
    其の為、根は連続した吸水は必要ではありません。
    従って、毎日の灌水は必要ありません。
    周囲の用土が湿り気を帯び、根の周囲が湿度を保つ事が必要です。
    この湿度は、ラン菌根菌等の微生物活性化に必要な保湿です。
    鉢内では、下部から上部に空気の流通があり、淀みの無い雰囲気が必要です。
    灌水の際は、ハス口から強めの水圧と多めの水量で鉢底からザーザー流れ出る位に
    充分の灌水を行います。
  • 地上栽培「温室」


    温室はポリカーボネット製です。
    太陽の直射に因る蘭の葉焼けを防止する事が出来ます。
    棚は二段組みです。
    鉢は総て専用プラスチック鉢を使用しています。

    N氏の温室

    N氏温室の開花調整室

    半地下蘭舎
    T氏の蘭舎
    冬季はビニールの内張りで休眠栽培を行う。

    I氏の蘭舎
    冬季は内囲いの中で休眠栽培を行う。
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