天災の国と人災の国

日本では昔から「地震・カミナリ・火事・オヤジ」という諺があります。
以前から「オヤジ」だけ違和感があったのですが、
どうも本当の語源は、「山嵐(やまじ)」がいつの間にか「親父(オヤジ)」に変わったらしいのです。
山嵐というのは「台風」をさしているので、「地震・カミナリ・火事・台風」なんですね。

今年の日本は正にこの言葉の通り、天災が巡って来ました。
台風は10ヶも上陸し、通過した蘭愛好家の温室は、被害が大変でした。
超大型の23号の後始末が終わったころ、新潟に三連続の地震がおきました。
横浜でも震度3の横揺れを続けて感じました。

阪神大震災を大阪で体験し、その被害の調査・復興支援と
走り回ったころを思い出しました。
250戸の再建マンションの設計では
もう二度とやりたくないと思うほどの苦労の連続でした。
(苦労話は別の機会に書くことにする)

地震後、1週間くらい経って、やっと動き出した電車の中の会話です。
「あんた、生きとったんかいな!」
「たんすの下敷きになったんやけど、なんとか抜け出したわ」

最初の三日が大事なんです。
食料と水が確保できれば、あとは何とかなりました。
一日も早いし支援と復興を祈るばかりです。

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建築基準法の構造計算では、地震と台風は同時に
発生しなことになっています。確率論的にはゼロではないのですが
そう設定しないと、どの建物も頑丈過ぎるくらいの過剰装備になってしまいます。

今でこそ天気予報が発達して、数日前からその動向が分かります。
分かってもどうしようもないのですが、心の準備とわずかな対策はできます。
昔はそれこそ突然に突風と豪雨がやってきて、秋の実りを奪って行きました。

農耕民族にとってはやはり「八百万の神」に祈るしかありません。

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一方、ブラジルは人災の国だと言われているそうです。
「麻薬・殺人・泥棒」と危険が一杯だそうです。

何度かブラジルを訪れましたが、地元の人は絶対に一人歩きをさせてくれません。
幸いにも今まで危険な目に遭遇したことはありません。
長年訪れている人の話では、必ずと言っていいほど強盗に遭っています。

ブラジルは大きなプレートに乗っている国なので地震は起きません。
エルニーニョなどの異常気象はあるようで、
今年のノビリオールの出来は悪かったそうです。

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日本の蘭の愛好家にとってのブラジルの人災は
敢えて言うなら交配の間違いくらいでしょうか。
日本では稀にしか起きないことが、ブラジルではよく起きます。

命を落とすこともない「人災」なのですが、どこかに原因があるはずです。
「天災」と思ってやり過ごすのも割り切れない困った問題です。


尚、サトックスジャパンでは交配間違えについては
いつでもお取替えいたします。

(2004.10.25)
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