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交配親「アバンドノ」の謎
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C. walkeriana tipo 'Abandono'

日本では馴染みの無い個体の「アバンドノ」ですが
ブラジルの有名愛好家アンドレ・カバジーニさんから入手した株です。
2010年の渡航時に彼を訪れ、栽培場の真ん中に吊ってあったのがこの個体です。

その迫力とペタルやリップの厚さに一目惚れして、
交配親に良さそうと思いながら、彼に両親を訊ねました。
しかし、明確な答えは返って来ませんでした。

帰国後、名前を調べてみると「捨てるもの」と言う意味でした。
彼はいつも「○○カバジーニ」と、名付けていて、それ以外は珍しいのです。

Baron, Ciquentenario, Satox Super と交配し、2017年に2個体が開花しました。
ひとつはペローラ、もうひとつはセルレアでした。

Baron : tipo = tipo x perola
Cinquentenaruio : tipo = coerulea x coerulea
Satox Super : tipo = perola x coerulea

ペローラは、バロンとの交配、セルレアはサトックス・スーパーとの交配でした。

Abandono : tipo = perola x coerulea

以下は、想像ですが、
多分カバジーニさんは、思い付きでセルレアとペローラを交配したのでしょう。
大事な交配では無かったので記憶の中で薄れ、記録も残して居なかったので
親が分からなくなり、名前もいい加減になった・・

書きながら8年前のシーンをかすかに思い出しました。
彼は、一旦捨てた株に良い花が咲いているので拾い出したと・・

ひとつ言えることは、この個体は4倍体と思われるのです。
株姿、ペタルやリップの厚さ、花粉の大きさ等々が判断材料です。
100株に1株だけ特に優れた個体が生まれた実例かも知れません。
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(ST-209) C.walkeriana tipo 'Abandono' x tipo 'Satox Super'
(ST-210) C.walkeriana tipo 'Abandono' x tipo 'Cinquenterario'
(ST-236) C.walkeriana tipo 'Abandono' x tipo 'Baron'
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交配した後で交配親が分かると言う、変則的な事例ですが
相手もそれぞれ違ったフォルマの親なので、何が咲くのか楽しみとも言えます。
バルブの色や根の先の色素などで、花色を予想する事も出来ます。

親が分からなかったので、価格も抑えていますので、お買い得と思います。
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(2018.2.1)